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「言葉のタネ明かし」悲喜こもごも
今春の受験戦争もやっと“終戦”を迎えた。合格した人にも、また惜しくも不合格となった人にも、それぞれの春がやってきたのであります。
この時期によく使われる表現に「悲喜こもごも」がある。「悲喜こもごもの合格発表風景が見られた」などというのがそれだ。しかしこのような「悲喜こもごも」の使い方は本来誤りとされており、これは恐らく最も頻繁に使われている誤用といってもよいだろう。
どうして誤用なのかは、「こもごも」を「交々」と漢字書きしてみたらよく分かる。つまり「悲喜こもごも(交々)」とは「悲しみや喜びが『交』互に訪れる」ことであり、だから例えば、恋人にふられて悲しみに沈んでいた折、たまたま買った宝くじが1等当せん(ちょっと現実離れした話ですが)…こういったケースが本来の「悲喜こもごも」なのである。
広辞苑では「交々」の項で「互いに入れかわって」とともに「入りまじって」という語釈も載せている。これに従うなら、喜びと悲しみは必ずしも交互でなければならないというわけではなく、両方が同時に訪れても「悲喜こもごも」は使えるのである。
要は、あくまで同一の人間の気持ちについていう表現だということだ。だから「悲喜こもごもの合格発表風景」は、「明暗さまざまの…」などに言い換えるのがよい。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
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