この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
『羊の目』伊集院静著
神を畏れつつ、“親”のためにすべてを投げ打って人を殺し続ける男の波乱万丈な生涯を描く。
昭和8年。内股に真っ赤な牡丹の彫り物を持つ夜鷹の女は、後に日本の闇社会を震撼させる男児を産み落とした。子どもの名は、神崎武美。物心つく前に母に捨てられ、浅草の侠客・浜嶋辰三に育てられた武美は、“親”である辰三を守るため、幼くして人を殺め、稀代の暗殺者に成長していく。
やがて、武美は辰三の懐刀となるが、対立組織に売られ、ロスに潜伏することに。一見穏やかな生活を送る中、武美は日本人街で暮らす母娘に導かれ、初めて教会に足を運ぶ。そこで、神の存在を意識したことで、何かが変わりそうにも思えたのだが…。人は何のために生きるのか、誰を信じればいいのか。深い余韻を残す大河長編。(文芸春秋・1750円)

