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桜の花で“花弁健康法”
日本では四季それぞれの花がある。しかし単に「花見」といったら、サクラの花をいうのが普通である。花見が行事化したのは平安時代で、奈良時代はウメが代表的な春の花だった。花見は平安貴族たちの間で大流行し、山でサクラ狩りをして花の下で酒盛りをしたり、歌に詠んだりした。
平安時代を代表する歌人の在原業平(825―880)は、サクラの花に潜む妖しい魅力を歌っている。
世の中に絶えて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
「世の中にサクラがなかったら人の心は本当にのどかでいられるのだけれど、サクラの花があるばかりに悩まされて心の安まる暇もない」というほどの意味で、『古今和歌集』の「春の歌」の中に出ている。
江戸時代には花見は民衆の楽しみとして定着した。日本人の花見は満開の花の下に入っていくところに特長がある。これは花の精気を体全体で受け止め、自分の生命力を補給するという古代以来の自然信仰のあらわれと思われる。
『万葉集』では酒杯でウメの花びらを受けて飲んでいるが、花びらや花粉にはビタミンやミネラルも含まれており、“花弁健康法”にもなっているのだ。
(絵と文、食文化史研究家・永山久夫)
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桜湯で風流
サクラの花といえば桜漬けがある。八重桜が用いられる場合が多いが、花弁の大きなものを塩と梅酢などに漬けて作る。塩だけで漬ける場合もあり、桜花漬けともいう。熱湯に浮かべると香りもよい、古代以来の風流ドリンクだ。
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