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「言葉のタネ明かし」独壇場

 「きょうの討論会は、まるでA氏のドクダンジョウだったね」というように、ドクダンジョウは日常のあらゆる場面で用いられている。ドクダンジョウを「独壇場」と書くことも、もちろん誰もが知っている。

 ところが「独壇場」について、その怪しさまでも含めて知っている人は、それほど多くない。

 「その人だけが思うままに振る舞える場所」の意の「独壇場」は、もともと「独擅場」と書いた。「壇」と「擅」の偏の違いに気づいていただきたい。「ほしいままにする」の意をもつ「擅」はセンと読むので、「独擅場」はドクダンジョウではなくドクセンジョウと読むのが正しい。

 ところがこの「擅」の字を「壇」と混同し、「独擅場」をドクダンジョウと誤読する人が増えたので、そのうち誤読の方が定着してしまった。やがて、ドクダンジョウの読みに引きずられて、字も「独壇場」と書くようになる。

 こうなると、悪貨が良貨を駆逐するように世間一般では、「独擅場・ドクセンジョウ」こそ誤りだと認識されるようになったのである。

 だから人前で「宴会芸をさせれば彼のドクセンジョウだね」とか何とか、物知り顔で言ったりすると、逆に「彼はろくに日本語も知らない」なんて、陰口をたたかれることにもなりかねない。言葉って本当に難しい。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)

その他の「言葉のタネ明かし」
「悲喜こもごも」 「口腔」 「大安」 「セイチョウ」 「みみざわりのよい」 「とんでもありません」 「高根の花」 「確信犯」 「発覚」

投稿日: 2008年04月10日

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