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「言葉のタネ明かし」独壇場
「きょうの討論会は、まるでA氏のドクダンジョウだったね」というように、ドクダンジョウは日常のあらゆる場面で用いられている。ドクダンジョウを「独壇場」と書くことも、もちろん誰もが知っている。
ところが「独壇場」について、その怪しさまでも含めて知っている人は、それほど多くない。
「その人だけが思うままに振る舞える場所」の意の「独壇場」は、もともと「独擅場」と書いた。「壇」と「擅」の偏の違いに気づいていただきたい。「ほしいままにする」の意をもつ「擅」はセンと読むので、「独擅場」はドクダンジョウではなくドクセンジョウと読むのが正しい。
ところがこの「擅」の字を「壇」と混同し、「独擅場」をドクダンジョウと誤読する人が増えたので、そのうち誤読の方が定着してしまった。やがて、ドクダンジョウの読みに引きずられて、字も「独壇場」と書くようになる。
こうなると、悪貨が良貨を駆逐するように世間一般では、「独擅場・ドクセンジョウ」こそ誤りだと認識されるようになったのである。
だから人前で「宴会芸をさせれば彼のドクセンジョウだね」とか何とか、物知り顔で言ったりすると、逆に「彼はろくに日本語も知らない」なんて、陰口をたたかれることにもなりかねない。言葉って本当に難しい。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
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