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都築響一さん-サブカルチャーのなかにこそ生来の姿

都築響一さん 忘れられた「日常」を独自の審美眼で現代美術に仕立てる、都築響一さんが「だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ」を刊行した。本書は150冊の本と本屋を巡る15年間の旅の記録。サブカルチャーの旗手である著者は、人間の打算と欲望がせめぎ合う、忘れられた「日常」の中にこそ、現代のリアリティーがあると語る。

――ユニークなタイトルですね
 「素人目線で自分が読みたい本、友人に紹介したい本、という基準で選んだのです。なるべく世に出てないものを、ということで、どこからも注目されないが、魅力的な活動をしている作家を。それがタイトルになった。でも、思わぬ芸術的価値を生み出している作品もありますよ」

――やはりサブカルチャー色は強い
 「自分はあくまでもメーンカルチャーを扱っているという意識でやっているんですけれどね」

――世間でメーンとされるものこそサブだ、と?
だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 「そう。だって例えば、メディアはマンダリンホテルができると、『女にもてる』と喧伝し、消費への飢餓感をあおる。だけど、そんなのはウソで、そんな都会のきらびやかな消費生活を享受できるのは一握りの人たち。大半は国道沿いの寂れたラブホテルに行くはずなんだから」

――そういうものに引かれるのは、なぜ?
 「洗練された都会ではなく、誰も価値を見いださない国道沿いのブックオフや、奧にカーテンで仕切られたエロビデオコーナーがあるような郊外のリサイクルショップ。そういう人間の打算と欲望がせめぎ合う場にこそリアリティーがあるからです」

――若いころ、雑誌「ブルータス」では最先端の現代美術を紹介していたが
 「最先端にいる意識はなかったですね。専門家が見向きもしない、評価が定まらないものに肉薄してきたつもりです。地方に目を向け出したのは、全国にある秘宝館の取材からで、一貫して文化ジャーナリストとして活動しています」

――読者層は幅広いですね
 「専門家に褒められるより、生意気な若造に『おもしろい』って言われたほうが何倍もうれしい。僕を見て、彼らが道を踏み外してくれたらな、と思ってるんですよ(笑)」

――いま面白いと思うものは?
 「カラオケ雑誌に、無名の演歌歌手のインタビューを連載しているが、これが実に面白い。妻に逃げられながら1人クラウンで全国営業するオジサンや任侠物しか歌わないオバサン。みんな好きなことやって、実に楽しそう」

――一種の寅さん
 「結局、人の目を気にせず、好きなことをやれるのだから、ある意味で『勝ち組』といえるのかもしれない。こうした文化の最前線で、人と社会を見ることが最高に刺激的ですね」

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 1956年、東京生まれ。編集者・ライター、写真家。雑誌「ポパイ」「ブルータス」編集部で10年間つとめた後、フリーに。都市生活者の生活感あるインテリア写真集『TOKYO STYLE』、木村伊兵衛賞受賞の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』など著書多数。

「だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ」

投稿日: 2008年04月11日

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