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アレキサンダー大王はマラリアに敗れる
アレキサンダー大王は紀元前4世紀に大帝国を築き上げ、33歳でこの世を去ったマケドニアの若き王である。かの哲学者アリストテレスが家庭教師で学問的にも秀でていた。さらに、自分を「神の子」だと信じていただけに神がかり的な行動のエピソードがいくつも残っている。
ペルシャ遠征の途中、縄が複雑に結びつけられている「ゴルディオスの戦車」という古い車が置かれてある神殿に立ち寄った。縄をほどいた者は世界を支配するといわれていたが、ほどいた者はいなかった。アレキサンダー大王は剣を抜いてこの縄を結び目ごと断ち切ってしまった。
アレキサンダー大王の命を奪った病気は、高熱が続いたことからマラリアと思われる。マラリアには熱帯型、3日熱型、4日熱型の3種類があるが、最も恐ろしいのは熱帯型。おそらくこれに感染したのだろう。
マラリアはマラリア原虫を媒介するハマダラカに刺されることで感染する。日本にはハマダラカはいないが、世界では今でも年に数億人が発病し、100万人以上が命を落としている。マラリアについては日本も油断できない理由がある。それは地球温暖化。温暖化で温度が上昇すれば、日本でもハマダラカが生息するようになる恐れがある。
もしアレキサンダー大王がマラリアにかからなかったなら、帝国の分裂も避けられたはずだから、ローマ帝国の隆盛もなかったかもしれない。マラリアは世界史に大きな影響を与えたのである。(東京文化短大学長・医学博士・中原英臣)
