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日本の病巣~ひきこもる大人たち(2)
最近では、30歳以上の報告も増えている「引きこもり」。会社も家庭もある、大人たちがなぜ突然、家から出られなくなってしまうのか。
約30年にわたって、引きこもり者の追跡、本人への面接をしてきた明星大学人文学部の高塚雄介教授は、引きこもりになりやすい人の像が見えてきたという。
「これまで引きこもりになりやすいのは、不登校経験者と言われてきましたが、実際には全体の3分の1以下。いまの引きこもりは、いったんは就職するのに、どこかでつまずいて、やがて働こうというエネルギーもなくなってきて、引きこもり状態に陥るのです」
では、なぜつまずくのか。
「共通しているのは、自分へのこだわりが強い人。こだわりがプライドにもなっている。ここは譲れない、ここは周囲に評価して欲しいという自尊心を持っている人が多い。その一方で、自尊心やプライドを押し通すだけの自信がないために、自己主張ができないのです」
確かに、他人からの批判に脅えていれば、人間関係も浅いものになっていく。人付き合いを深めるには、自分の持っている世界を相手に見せなければいけない。こうした人間関係の中を緊張状態で送っている傾向があるという。
「人と争ってまで自分の考えを押し通す気持ちはない。トラブルを起こしたくない。そんな自己矛盾の世界に生きているんです。そうなると結局、自分の世界の中に留まって、じっとしているしかない」
それでも、多くの人は矛盾を抱えつつも、会社に向かう。その違いは、どこにあるのか。
「矛盾などの葛藤を自分で乗り越える力があるかどうかの違いです。乗り越えられないのは、葛藤処理体験が少ない人。子供の頃、勉強さえしていれば、何でも許され守られる、安心できる場があったんです。これでは葛藤処理能力が身につきません」
こうして極限状態が続いていくと、ある朝、「体が動かなくなる」「目が見えない」「耳が聞こえなくなる」――といった症状も起きてくるという。次回、その心理的メカニズムに迫ってみたい。



