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サラリーマン小説再読「OUT」
格差社会の象徴でもあり、今や労働人口の30%を超える非正規雇用者。その一角をなす女性パートタイマー4人を登場させたクライム・ノベル(犯罪小説)だ。
彼女たちは東京都下の弁当工場に勤務。昼勤より時給が25%高い夜勤仲間だ。ベルトコンベヤー方式で各人が持ち場につき、作業をこなす。ご飯を平らに均(なら)す者、カレーをかける者、鳥の空揚げを切る者、シールを張る者…。
4人の中で仕事が一番できるのが「ししょう」と呼ばれる吾妻ヨシエ。無駄口を叩かず何となく周りから一目置かれているのが香取雅子。ほかに夫婦仲の悪い山本弥生と浪費家でだらしない城之内邦子。
事件は山本家で起きる。弥生が夫を絞殺。弥生は日ごろ頼りにしていた雅子に相談の電話をかける。雅子は自首を勧めるどころか犯行の隠蔽協力を約束する。要は遺体の始末だが…。「女とバラバラ殺人事件は相性がいい」という怖い注釈も。理由は女は非力で死体を動かせないし、包丁は使いなれているから。また、女同士は境遇が似ていると共犯関係になりやすいとも。
雅子が大金を手にしながら、最後まで弁当工場勤めをするのがよく、パートタイマーの哀歓も鮮やかだ。「OUT(アウト)」は「出口」の意味だが、出口なしの状況は野球のアウトに通じるのである。
(文芸コラムニスト・長野祐二)

