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瀬名秀明「イヴのみる夢」(29)-お菓子感覚でキッズサプリ

イヴのみる夢 いまから10年後。Kさん一家の引っ越してきた郊外の町では、ちょっとおもしろい試みが始まっている。月に1回、会社や小中高校で身体検査があり、そこで「おすすめサプリ」の一覧表やガイドが渡されるのだ。

 週末にKさんは妻や娘と連れ立って、近くのモールへ出掛け、そこに出店している薬局に足を踏み入れる。この町の薬局は、どこも一昔前の駄菓子屋のようなコーナーがあって、そこでお菓子を買う感覚で子供向けのサプリメントを購入できるのだ。妻からおすすめ一覧表を受け取った薬剤師は、笑顔で応対してくれる。

 「お子さん向けのサプリは、まずお母さんが選んであげるといいですよ。ご家庭のお食事と照らし合わせて、不足しがちなビタミン類を補うのがいいですね」

 家族みんなで自分たちの健康を守りたい、という生活意識に応えるサプリメント商品がいまヒットしている。たとえばアサヒフーズアンドヘルスケア社のサプリメント「ディアナチュラ」には、成人や高齢者だけでなくキッズ向けのラインアップも用意されていて、特に注目を集めている。子供の生活習慣病などが問題になっているのに子供向けのサプリがないことから開発されたこの商品は、グミタイプなど子供でも利用しやすい剤型で、発売前のモニター調査でも大好評を得たそうだ。

 薬局に子供がひとりで行ってサプリを購入しても大丈夫なのだろうか。実際は親御さんが買い与えているケースが多いようだ。セルフメディケーションという言葉をよく耳にする。自分自身で健康を管理して、病気を予防してゆく考え方だが、キッズサプリのブームはその延長上にあるといえるだろう。

 ただしおかしなサプリに惑わされないよう、きちんと知識を持って健康管理することが重要で、だからこそ親が薬剤師などからしっかりとした情報を得てゆくことが大切だ。

 娘がかわいいグミサプリを口に放り込む。Kさんは時代の移り変わりを感じながらも、薬局がちょっと身近になった気がした。
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せな・ひであき
小説家。1968年静岡県生まれ。96年東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。95年、大学院在籍中に執筆した「パラサイト・イヴ」が日本ホラー小説大賞受賞、155万部のベストセラーに。主な著書は「デカルトの密室」 「ハル」など。


■瀬名秀明「イヴのみる夢」
(28)ご飯のお供にワクチンふりかけ
(27)歩くだけで5ワット! 人体発電機
(26)ミトコンドリア・ダイエット
(25)肥満解消に魔法の弾丸
(24)脳に埋めたチップが支援
(23)遺伝子操作で神経回路オン・オフ
(22)細胞をプリンターで印刷
(21)家禽の遺伝子改変で抑制も
(20)脳を活性化するサービス
(19)日本語は感染症予防に効果的!?
(18)心の痛みに効く処方
(17)“予知”能力もトレーニングできる
(16)「ゆらぎ」を活用する生命
(15)標識付きウイルスで伝播追跡
(14)父親から受け継ぐ「寿命の回数券」
(13)人類のⅠ型糖尿病も同じ!?
(12)「し忘れ」と「し間違い」の脳科学
(11)体外離脱でメンタルヘルスケア
(10)仮想空間で運動障害をリハビリ
(9)「アルツハイマー病予防で残りの人生謳歌」
(8)「ロボットと運動する楽しさ」
(7)「ペットが分身に?」
(6)「オヤジ臭さ」撃退!
(5)「人間の脳と機械の体を"融合"」
(4)「自分の脂肪でケータイ充電」
(3)「自分の一部を機械が操作」
(2)「ゲノム情報を読み取る」
(1)「ミトコンドリア占い」

投稿日: 2008年04月23日

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