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瀬名秀明「イヴのみる夢」(30)-体格と性格の相関をメタボ対策に応用
体型と性格は関係があるのだろうか? Lさんの趣味は人間観察。社内を見渡すと痩せている人は神経質だし、恰幅のいいメタボ体型の専務は実に社交的だ。ある日Lさんがクリニックを訪れると、「話し好きですか」など性格にまつわる質問票を手渡された。科学はこの問題にどこまで斬り込んでいるのか。
「こういう体型だから必ずこんな性格だとはいえませんが、全体的な傾向は調べられていますよ」とLさんの担当医ならいうだろう。
1990年、宮城県に住む40―64歳の男女を対象に、生活習慣に関する大規模な質問票調査がおこなわれた。東北大学の辻一郎教授のグループは昨年この調査結果を詳細に解析して、(1)外向的(社交性)(2)神経症的(心配性)(3)非協調性(攻撃性)(4)社会的望ましさ(虚栄心)という4つの典型的な性格について、太りすぎや痩せすぎといった体型との相関関係を調べたのである。
それまで数千人程度の調査報告はあったが3万人以上のデータを対象に、しかも年齢や学歴、病歴、飲酒や喫煙の有無、毎日の健康エクササイズの状況なども含めた大規模調査をもとに相関関係を調べたのは世界でも初めてのことだ。
すると男女ともに「外向的」「非協調的」な性格が強いグループほど太りすぎの割合が増え、逆に「神経症的」な性格は痩せとの相関があった。また男性だと「社会的望ましさ」は太りすぎと反対の相関関係にあった。
解析をした大学院生の柿崎真沙子さんらは、この結果を将来の予防医学に応用できると考えている。もしその人が「外向的」「非協調的」の点数が高くて「神経症的」の点数が低ければ、太りすぎや肥満のリスクに対応した予防プログラムを組むのがよい。外向的な人ならクリニックに来る回数を増やして積極的に予防に取り組ませるのも得策だ。
「なるほど理屈だ」とLさんは感心する。
ゲームでエクササイズし、体格指数も測定しつつ、自分の性格に応じたメタボ対策メニューを入手する。そんな将来は目の前だ。
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せな・ひであき
小説家。1968年静岡県生まれ。96年東北大学大学院薬学研究科(博士課程)修了。95年、大学院在籍中に執筆した「パラサイト・イヴ」が日本ホラー小説大賞受賞、155万部のベストセラーに。主な著書は「デカルトの密室」 「ハル」など。
■瀬名秀明「イヴのみる夢」
(29)お菓子感覚でキッズサプリ
(28)ご飯のお供にワクチンふりかけ
(27)歩くだけで5ワット! 人体発電機
(26)ミトコンドリア・ダイエット
(25)肥満解消に魔法の弾丸
(24)脳に埋めたチップが支援
(23)遺伝子操作で神経回路オン・オフ
(22)細胞をプリンターで印刷
(21)家禽の遺伝子改変で抑制も
(20)脳を活性化するサービス
(19)日本語は感染症予防に効果的!?
(18)心の痛みに効く処方
(17)“予知”能力もトレーニングできる
(16)「ゆらぎ」を活用する生命
(15)標識付きウイルスで伝播追跡
(14)父親から受け継ぐ「寿命の回数券」
(13)人類のⅠ型糖尿病も同じ!?
(12)「し忘れ」と「し間違い」の脳科学
(11)体外離脱でメンタルヘルスケア
(10)仮想空間で運動障害をリハビリ
(9)「アルツハイマー病予防で残りの人生謳歌」
(8)「ロボットと運動する楽しさ」
(7)「ペットが分身に?」
(6)「オヤジ臭さ」撃退!
(5)「人間の脳と機械の体を"融合"」
(4)「自分の脂肪でケータイ充電」
(3)「自分の一部を機械が操作」
(2)「ゲノム情報を読み取る」
(1)「ミトコンドリア占い」



