TOP / ピックアップ > エンタメにシビレ、ニヤリ、懐かしむ 『小津ごのみ』(中野翠著)

エンタメにシビレ、ニヤリ、懐かしむ 『小津ごのみ』(中野翠著)

小津ごのみ 小津映画に対する評価は数多いが、これだけ、いろいろな角度から細部にこだわり、それが本質につながることを語った文章はこれまでにないと思う。

 著者には「ストーリーやテーマやメッセージよりも、まず、ある美感というか趣味性を最大限に具現したものとして迫ってきた」のが小津だったのだ。ドンゴロス地のタイトルバックをはじめ「個性や叙情性はきびしく排除」したファッションやインテリアの「端正で理知的な美しさ」。

 名脇役、笠智衆に「ぼくの作品には表情はいらないよ。能面で行ってくれ」と言い、音楽を登場人物の心理描写に使うことを嫌い、内容は寂しいものでも明るく軽やかな曲をつける。 

 「突貫小僧」「淑女と髯」など戦前のコメディー作品のおもしろさと落語との共通点。一方、定評のある戦後作品でも、たとえば「秋日和」で性的くすぐりの出る会話を「私は白けた」と書くなど批判も忘れない。何とも刺激的な小津論だ。  (筑摩書房・1470円)

「小津ごのみ」


投稿日: 2008年04月20日

トラックバックURL:

ちょいワルフジBLOG

最新記事

夕刊フジBLOGから

コラボ企画

オススメサイト

夕刊フジBLOGモバイル

  • http://yfuji.jp/
    夕刊フジBLOGモバイル
  • 携帯も夕刊フジBLOGモバイル