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“商売道具意識”が巨人をダメにする

■江尻良文編集委員「球界に直言!」
 今季初対決の伝統の一戦、4日の巨人vs阪神(東京ドーム)試合前にセレモニーが行われた。永久欠番シリーズの第1弾として『長嶋茂雄シリーズ』と銘打ち、長嶋茂雄終身名誉監督が場内アナウンスと同時にグラウンドへ現れ、ファンから拍手喝采を浴びた。が、何の趣向もなく、ただそれだけで終わってしまったのには絶句だ。記者席の隣で見ていた猛虎ファンのダンカンさんも「巨人首脳陣、選手がベンチ前に整列するわけでもなく、長嶋さんに失礼だろう」と憤慨していた。全く同感だった。

 リハビリに励みながら、現場に足を運び、「勝つ、勝つ、勝―つ!」と事あるごとに巨人軍にカツを入れ、昨年は5年ぶりのリーグ優勝へ貢献している。現役引退の時の「我が巨人軍は永久に不滅です」という名セリフは後世に語り継がれていくだろうが、長嶋茂雄というカリスマも永久に不滅だ。そういう偉大な人をグラウンドに立たせただけで、セレモニーを終わらせてしまう巨人フロント首脳の無芸にはあきれ果てる。

 ユニホーム組に敬意を払わない、こういった読売からの天下り素人フロントの姿勢が巨人軍を堕落させ、ファンを失う元凶になっている。正力亨オーナー時代の長嶋第一次政権誕生と共に巨人担当記者になった同年代と昔話になると、今の巨人との違いが自然に話題になる。「正力さん時代は背広組がユニホーム組のために必死になって後方支援に取り組んでいた。渡辺さんの時代になると、すべて読売の商売のためが最優先になり、巨人そのものに対する愛情が感じられなくなっている」。こういう結論になる。

 パ・リーグの公式戦が始まっているのに、レッドソックスとアスレチックスの開幕戦が東京ドームで行われ、しかも主催が読売新聞社。巨人のエース・上原浩治が「パ・リーグの盛り上がりに水を差す」と正面からかみついたのは、まさに正論だった。今オフにFAでメジャー移籍をするから怖いモノ無しで堂々ともの申せたともいえるが、読売に対する決別宣言だったのだろう。

 その後の上原のメジャー入り宣言に関し「結構なことじゃないか。最初からわかっていたこと。こっちは予定していたことだし、驚くことじゃない。そんなことより巨人軍は若手を育てた方がいいんだよ」と渡辺球団会長は既定路線と平静をアピールした。が、エース・上原流出の前に、巨人に大きな爪痕を残した4番・松井秀喜のヤンキース入りの苦い過去を忘れているのか。

 松井が巨人と決別した大きな理由の一つに、ビジターのユニホームの胸マークが『TOKYO』から『YOMIURI』に変わったことがある。「何もわざわざYOMIURIと入れなくても、ファンはわかっている。なぜそんなことをするのか。アメリカでも『TOKYO GIANTS』で名が通っているのに―」と憤慨した。巨人軍を商売道具としてしか見ない読売首脳への抜きがたい不信感があったのだ。

 その松井がヤンキースへ行ってから巨人は優勝できなくなり、昨年ようやくリーグ優勝したが、クライマックスシリーズに惨敗して日本シリーズにも出られなかった。歴史は繰り返すのか。エース・上原がメジャーへ行く来年以降、巨人はまたまた何年間も優勝から遠ざかるのか。

投稿日: 2008年04月21日

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