この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
日本の病巣~ひきこもる大人たち(3)
40、50代の引きこもりが増えている。朝目覚めたら金縛りに遭い、家から一歩も出られなくなる―大人になってからでもそんなことがあるのだ。
なぜ突然、体が動かなくなるのか。その心理的メカニズムについて、長年、本人への面接を続けている明星大学人文学部の高塚雄介教授が、こう説明する。
「心理的なメカニズムで起こるのは、一種のヒステリー反応です。建前としては、こうしなければいけないという認識はあるけど、実際にはそれができないときに、葛藤が起こる。その葛藤処理がうまくいかなくなったときに、体が動かなくなるんですね。ヒステリー反応の中には、突然、音が聞こえなくなる、目が見えなくなる、声が出なくなるといったことも起きます。また、突然の豹変や、キレるといったこともあります」
こうした症状は、病気ではない。誰にでも起きるという。ではなぜ、ヒステリー反応が起きるのか。
「疾病利得といって、それ以上、本人が苦しまなくて済む。体が動かなくなれば、周りが心配してくれる。それを口実に、何もやらなくて済むんです。体が病気を作ってくれる自己防衛反応ですね」
典型的なのが、金縛り現象だ。会社で嫌なことがあって、翌朝、起きようと思ったら、体が持ち上がらない。押さえつけられているような感じになる。結局、会社を休んでしまう。これも疾病利得だ。
翌日になったら、無理してでも会社に出かける人もいれば、そのまま長期欠勤になる人もいる。会社のほうでも心配して、会社の産業医や心療内科へ行かせると、その多くは、心身症やうつなどと診断されているという。
では、引きこもり予備軍ともいうべき自覚症状は何か。
「眠れない、イライラする、何となく落ちつかない、漠然とした不安につきまとわれる…などは要注意。ただ、治療が必要か、心理学的ケアがいいのか、最初に判断のできる窓口が大事です。日本は、心のケアの対応が遅れている」
引きこもりもニート対策の中に一緒くたにされてきた。が、日本のニートの定義は曖昧で上限も34歳まで。35歳以上のひきこもりは、置き去りにされている。
次回、彼らの悲痛な叫びを追う。
日本の病巣~ひきこもる大人たち(1)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(2)

