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医者が実感する台風と病気の関係

 毎年やってきては大暴れして去っていく台風。その強烈なパワーがもたらす多大な被害は、何もがけ崩れや家屋の倒壊だけではない。人体にも悪影響を与え、健康被害を引き起こす要因にもなっていることが最近、ある調査で分かった。

■患者は1・8倍増
 クモ膜下出血は、脳の表面近くを通る動脈の弱い部分が風船のように膨れ(脳動脈瘤)、何かの拍子に破裂して起こる出血性の脳卒中。ひとたび発症すれば約半数が死亡する怖い病気だ。

 そんな病魔の発症が台風の接近で増えることに気づき、このほど調査を行ったのが国立病院機構・関門医療センター(山口県下関市)の泉原昭文・脳神経外科医長。先月開かれた日本脳卒中学会で、その結果が報告された。

 発表内容は同医師が5年前まで勤務していた沖縄県立八重山病院が扱った約13年間中のクモ膜下出血患者94人(平均年齢約57歳)の症例を分析したもの。56個の台風が石垣島300キロメートル以内に接近した前後3日以内とそれ以外の時期の発症数を比較したところ、台風接近時期の方が約1・8倍多いという結果になった。

■気圧が動脈瘤を膨張
 この因果関係について、泉原医師は「今後は多くの他因子を含めた検討が必要」としながらも、「気圧変化が脳動脈瘤を膨張させるなどの影響を与え、破裂しやすくさせているのでは」と推測する。

 また台風の影響は低気圧だけでなく、暴風や豪雨による不安感(精神的ストレス)が血圧を上げて発症を高める因子になっている可能性を指摘する。

 「いまの病院でも、つい最近、台風並みの温帯低気圧が接近・通過したときにクモ膜下出血の多発があった。ほとんどの脳神経外科医、救急医は気象との関係を感じていると思う」と泉原医師。さらに山口県内の約30年間の統計データを調べ、
クモ膜下出血の発症と気象の関係を追究していきたいという。

■リウマチ、関節痛、メニエール病
 またリウマチや関節痛が低気圧や前線の接近で悪化することは古くから確認されている。が、耳鼻咽喉科領域でよく知られるのは、めまいや耳鳴り、難聴を繰り返すメニエール病の発作だ。

 「患者さんにとっては『自分は気象予報士になれる』というくらい有名な現象」と話すのは、東京厚生年金病院・耳鼻咽喉科の石井正則部長。こちらも解明はまだだが、最近の研究から皮膚にある細胞が大気圧の変化と湿度の変化を感じ取ることが分かっているという。

 低気圧の通過によって、「これらの細胞が過剰に反応すると、自律神経系にストレス情報として反応し、各種の症状が引き起こされると考えられている」(石井医師)。これからも研究の進展が期待される気象と病気の関係。

 よく当たる気象予報士だけは避けたいところだ。

投稿日: 2008年04月25日

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