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くいだおれ太郎 コスプレ七変化歴史
7月で約60年の歴史に幕を下ろす大阪・道頓堀の老舗食堂「大阪名物くいだおれ」(大阪市中央区)。店のシンボルとして親しまれてきた看板人形の「くいだおれ太郎」も、閉店とともに“定年”を迎える。単なる店の広告塔にとどまらず、1990年代からは世の中の動きを敏感にとらえ、さまざまなコスチュームでパフォーマンスを繰り広げてきた太郎。ここ10年はコスプレにも磨きがかかり、激変する時代を彩ってきた。太郎の変身ぶりとともに、世相を振り返った。
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くいだおれ太郎 コスプレ七変化歴史
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初代 太郎の親父 (1999年6月)
くいだおれ創業50周年を記念して、1日限定で再現された初代くいだおれ人形こと「太郎の親父」。創業者の故山田六郎氏が、回転する電動人形として店頭に置いたが、盆の上に乗せた生ビールが飛び散り通行人に迷惑がかかってしまうため、わずか1週間でお蔵入りとなった“幻の初代”。その後、縦じまの紅白のピエロ服を着て、チンドン屋さん風にふんした太郎が登場。約60年間、休むことなく太鼓をたたき続け、客を呼び込んできた。
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皇太后ご逝去 (2000年6月)
皇太后が逝去され、いつものド派手なピエロ姿から喪服に着替え、弔意を表した。この日は道頓堀界隈のネオンの灯が消え、向かいにあるカニ料理専門店「かに道楽」のカニの看板もストップ。翌日は土曜だったが、日本中央競馬会(JRA)はレースの開催を中止し、東京ディズニーランドでは打ち上げ花火も見送られた。衆院総選挙の最中でもあったが、立候補者らは街宣車の音量を絞り、粛々と有権者に支持を訴えた。
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日韓W杯 (2002年5月)
サッカーの日韓ワールドカップが開幕する直前、日本代表のサポーターに変身。日の丸のフェースペインティングもほどこされた。道頓堀川沿いにあるグリコのネオン看板も日本代表のユニホーム姿になり、かに道楽のカニまでユニホームを着用するなど、道頓堀の名物看板が一体となって応援ムードを盛り上げた。それが功を奏してか、日本代表は悲願の決勝トーナメント進出。大阪のサポーターたちは歓喜のあまり、道頓堀川に次々と飛び込んだ。
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阪神18年ぶりV (2003年10月)
阪神タイガースが18年ぶりのリーグ制覇を果たし、トラ党の太郎はファンと店内のテレビにかぶりつき。が、それは表向きの理由。前回(1985年)にタイガースが日本一となった際、熱狂的なファンが界隈のファストフード店「ケンタッキー・フライド・チキン」のカーネル・サンダース人形を道頓堀川に投げ込む騒動があり、“他人事”ではなかったのだ。タイガースの優勝が近づくたびに「次は太郎が標的になる」との噂が絶えず、店内に緊急避難していた。
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紀宮さまご結婚(2005年11月)
紀宮さま(現・黒田清子さん)のご結婚を祝して、弟のバンザイ人形「くいだおれ次郎」が登場。皇太子さまご結婚や関西国際空港開港など、国民的慶事があれば、店頭にしゃしゃり出てバンザイする目立ちたがりやの次郎。太郎が“出張”の時は留守を預かり、代役を務める兄思いの一面も。なかなか店頭に姿を見せないことから、大阪の隠れキャラクターとしても知られるが、「くいだおれ商法」のしたたかさの一端が垣間見える。
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ドイツW杯 (2006年6月)
ドイツW杯開幕が近づき、「頑張れジーコジャパン 応援準備は万端や」と書いたメッセージとともに、日本代表のユニホーム姿で応援。苦戦する日本に、続いて「今度こそやで」というメッセージを掲げ最後まで応援し続けた。
太郎のメッセージはコスチュームとともに通行人を楽しませてきたが、大ウケだったのは92年に阪神タイガース優勝がささやかれた際の吹き出し。道頓堀川に投げ込まれることを恐れ、浮輪とシュノーケル姿で「わて泳げまへんねん」。
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世界陸上大阪大会 (2007年8月)
世界陸上大阪大会が開催され、日本代表のユニホームを着用。「ようこそ大阪へ」と来日した海外のアスリートたちを歓迎した。開会式では太郎にふんした約30人の「くいだおれダンサーズ」がパフォーマンスを披露し、その姿を太郎が客席で観戦する演出が、海外のVIPらに大ウケした。こうしたパフォーマンスを通じて、太郎の知名度は海外にも広がり、太郎見たさに外国人観光客が道頓堀を続々と訪れるなど、世界に誇る「大阪の顔」となった。
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閉店が決まり、くいだおれの屋号とともに、太郎の行く末が気になるところ。店側は営業譲渡に前向きな姿勢をみせており、「太郎を譲ってほしい」といった申し出や問い合わせは、早くも100件以上に達している。
営業権や太郎の譲渡に名乗りを上げているのは、同業の飲食チェーン店のほか、大阪のシンボルタワー・通天閣を運営する「通天閣観光」(大阪市浪速区)や創業者・故山田六郎氏の故郷・兵庫県香美町、さらには字阪神球団まで多岐にわたる。
山田昌平社長は閉店発表の記者会見で「(営業譲渡については)優秀な方が申し出てくれれば、検討はさせていただく」と表明。譲渡する場合、屋号や太郎については「できることなら道頓堀に残したい」との意向を明らかにしている。
殺到する申し出に対し、店側は売却先を決めるプロジェクトチームを設置。弁護士らによる”第三者委員会”で申し出を精査する方針だ。
一方、店内では「さよならくいだおれフェア」が閉店まで開催中。これまでの太郎の活躍ぶりを撮影した秘蔵写真が各フロアの壁にズラリと展示され、来店客を楽しませている。併せて全国の食材を取り入れた料理フェアも開催。山田社長は「くいだおれらしい華々しい閉店を迎えたい」という。
約60年にわたって店の看板としてだけでなく、「大阪の顔」として活躍してきた太郎。店先には観光客らが続々と訪れ、別れを惜しむが、これが道頓堀で最後の姿となるのか―。



