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日本の病巣~ひきこもる大人たち(4)残業中、緊張の糸が切れ
都心のIT企業に勤める30代半ばの鈴木さん(仮名)は突然、会社に行かなくなった。
両親と都内の実家で同居していた鈴木さんは、1人っ子で独身。ある日、会社に行こうとしないAさんに、母親が理由を聞くと、ひと言だけ、こうもらした。
「もう疲れた…」
以来、鈴木さんは5年にわたり、家に引きこもる。会社には退職届などを提出することもなく、そのままフェードアウトした。
ITという言葉が、時流に乗りつつあった時代だ。会社では、連日家にも帰れないほど働いた。が、いつものように残業していた真夜中、パンと緊張の糸が切れた感じがしたという。
それまでお金を使う暇がなかったために、会社を辞めても、貯金だけでしばらく暮らしていけた。家では、好きなパソコンやゲームにのめり込んだ。
「真面目でこだわりが強いタイプなのに、なぜ?」
と、周囲は首を傾げる。
製作会社でモノ作りの仕事をしていた40代前半の木村さん(仮名)も、会社を辞めてから、3年ほど引きこもった。「腰が痛くて動けない」というのが、退職の理由だ。
ところが、病院や整体などに行っても「とくに問題はない」といわれた。いまにして思えば、「会社に行きたくなかったのかもしれない」と思う。
もともと、木村さんは人と話をするのが好きな性格。しかし、そんな積極性が逆に黙々と働く職人の現場で煙たがられたようだ。周囲に話しかけても無視され続けた。こうして職場に復帰できなくなる障壁が人間関係にあるケースも多い。
木村さんは、首都圏近郊の実家で両親と同居。妹はすでに結婚していた。家では読書したり、夜になると、コンビニやレンタルビデオ店に出かけたりで、昼夜逆転生活を送る。
今月9日、「全国引きこもりKHJ親の会」の奥山雅久代表ら引きこもりの親たちは、参議院会館で国会議員らにこう訴えた。
「大人の引きこもりが増えてきて、事態は深刻化している。行政の施策から置き去りにされた“棄民”だ。早急に、引きこもり対策課などを創設して欲しい」
次回、社会から離脱する事例を検証したい。
日本の病巣~ひきこもる大人たち(1)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(2)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(3)




