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清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(1)USJ(上)
大阪市のウオーターフロント地区に広がるテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」。ここ数年、着実に入場者(ゲスト)数が回復し、レジャーシーズン、土日・休日を問わず、園内には若い人や家族連れ中心に、ゲストの楽しげな声が終日こだまし、テーマパークらしい活気ある雰囲気が再び醸し出されるようになってきた。
相次ぐ不祥事と借入金の増大によりジリ貧となり、一時は前途が危ぶまれるくらいの危機に直面したUSJ。財務面とマーケティング面中心にドラスティックな改革を敢行。ようやくテーマパークとしても、企業としても成長軌道に戻ったと言えるだろう。その背後にいかなる経営戦略、改革努力があったのかを3回にわたり見ていきたい。
さる3月17日、このUSJで新しいアトラクションがオープンした。「ファンタスティック・ワールド」。この日はプレビューで、翌18日からが一般公開であった。
午後2時ころ、入場口にほど近いハリウッドエリアのストリート上に巨大なしずくの形をした2台のステージと、2つのステージをつなぐブリッジ型のステージが運び出された。この可動式の3台のステージを万に近い人たちが囲んだ。いったいステージがどのように動き、どういうパフォーマンスが展開されるのか、彼らは期待を胸に見守っている。
やがて音楽が流れ始め、主役である2匹のホワイトタイガーの子供を演ずるパフォーマーが登場した。実はこの新アトラクション、3台の可動式ステージを舞台にした屋外型ミュージカルなのだ。環境や共生が時代のテーマとして注目されているが、大地と空と海に生きるすべての生物がつながりを持って生きている、つまり「私たちは1人ではない」ことをメッセージとして込めている。
音楽はハリウッドなどで活躍する有名作曲家たち。2匹のホワイトタイガーに加え、大地のシーンではサル、ヒョウ、ライオンなどが、空のシーンではインコ、クジャク、アゲハチョウなどが、そして海のシーンではカニ、サクラエビなど60人が次々と登場、楽しくエキサイティングなショーが繰り広げられる。
高さ13メートルの巨大なステージは、長さ8メートルのペダル12枚が花びらのように開き、27万個のLEDの照明でキラキラと輝く。その中を動物、鳥、魚の衣装を身に着けたパフォーマーが舞い、飛び跳ね、あるいはペダルの先から下されたロープや布にすがりアクロバティックな踊りを披露する。時にその演技はサーカスと見まがうばかりだ。
マーケティング担当の田中功取締役(63)は、「このアトラクションは、プロデューサー部門が1年ほど前にコンセプトを作り、いけるかどうかマーケットリサーチし、結果がよかったのでゴーサインが出た。それからストーリー作り、ステージ作り、パフォーマー選定、稽古スタートなどと急ぎ準備が進められていったいうのが流れだ」と語る。
時間が限られていることもあり、完成に至るまで、もろもろ苦労があったようだ。例えば、パフォーマーの1人としてヒョウの役を演じるスレン・ボザンさんによると、「巨大な可動式のステージなのでその動きに合わせることを含め、ショーの構成の中でスタントアクト(曲芸的な演技)をうまくあわせるのに苦労した」という。
長年、USJのエンターテインメント関係のアドバイザーを務め、今回もショーディレクターの重責を担った金谷かほりさんはそのことに加え、より難しかったこととして「出演者が英米、中国、ウクライナ、ロシアなど7カ国にまたがり、言葉が通じないために、演出家として出演者たちと信頼関係を築くのに時間がかかった」と別の苦労をあげてくれた。
およそ25分のショーは大きな拍手のうちに終わった。観客の後ろのほうで見ていたグレン・ガンペル社長(60)も仕上がり具合に満足そうであった。あとでこう語ってくれた。
「これで観客がどれだけ増えるとか、成功だとかは言えませんが、少なくともマーケティング調査を見るかぎり、よい結果をもたらしてくれると思っています」
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東京ディズニーリゾートに対抗する西の巨大テーマパークとして、2001年3月31日にオープンしたUSJ。大阪市が25%余り出資し、社長も市出身者が就任するなどいわゆる第3セクターであった。初年度こそ1100万人と予想以上の入場者を集めたが、2年目になり賞味期限切れ食材の提供、法規制を超える火薬の使用など不祥事が相次ぎ、社長以下の対応が後手に回ったこともあり、顧客離れを起こした。
04年社長に就任したグレン・ガンペル氏は、USJのテーマ性を大胆に転換、一方で大幅な増減資によりバランスシートを改善、業績を反転させることに成功した。07年3月には東証マザーズに株式公開。年間入場者はおよそ900万人。



