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しあわせ集める B級コレクションの世界
経済アナリストの森永卓郎さん(50)が本紙で連載した「B級コレクションのススメ」が単行本化され、好評発売中だ。収集を通じて「しあわせ」や「生き甲斐」までも手に入れられる―という森永さんに、改めてB級コレクションの意義について寄稿してもらった。
「楽しいことがない」。そう嘆くサラリーマンが多い。ストレスのたまる仕事ばかりなのに、給料やポストはちっとも上がらないし、物価高も生活を圧迫している。楽しいことがあるはずがない、と思い込んでいる人も多いだろう。
しかし、将来を考えたら、自分なりの生き甲斐を見つけておくことは絶対に必要だ。定年後を幸福に過ごせるかどうかは、お金よりも、生き甲斐を持っているかどうかにかかっているからだ。生き甲斐は、スポーツでも音楽でも園芸でも、何でもよい。ただ、もし何をしたらよいのか分からないなら、コレクションを始めるのはいかがだろうか。書画骨董を収集する金銭的余裕がないなら、ほとんどお金のかからないモノを集めるのだ。
私はいま、53種類のB級グッズを集めている。コーラやお茶の空き缶、消費者金融のティッシュ、食品のパッケージ、指人形、グリコのおまけ、ペットボトルのフタなど、本当に経済的価値のないものばかりだ。
ただ、そうしたものでも、数を集めて並べると、いままで気づかなかった美しさが現れてくる。コレクションが年輪を重ねると、モノが歴史を語りだし、楽しみがどんどん大きくなるのだ。
B級グッズコレクションの一番の楽しみは、コレクションを通じて人間関係が大きく広がることだ。
異業種交流会で知り合う人たちは、業種が異なるだけで、実は同質の人たちだ。ところがコレクションを通じて知り合う仲間は、本当にさまざまな質の人たちがいる。付き合っていて楽しいし、世界が広がる。
ただし、深い人間関係を結ぼうと思ったら、コレクター人口の少ないコレクションを選ぶのがいい。たとえば、お茶の空き缶、ペットボトルのフタ、消費者金融のティッシュは、全国でも本格的なコレクターが10人程度しかいない。
そうしたモノを集めれば、コレクター同士は家族のように仲良しになれるし、実際に会えば、コレクションのことだけで4時間も5時間も語り明かせる。海外にコレクターのいるグッズなら、海外にも交流の輪を広げられる。
交流の方法は簡単だ。自分のコレクションを紹介するホームページを立ち上げて、コレクションの写真の下に「Trade OK」と書くだけで、世界中の仲間からメールが届く。メールは欧米だけでなく、アジアや南米、アフリカ、オセアニアなど、それこそ全世界から来るはずだ。
グローバル派を公言する人は多いが、そうした人に限ってアメリカやイギリスくらいとしか交流がない。コレクターになれば、本当の意味でグローバルな活動の輪が広がる。英語が下手でもかまわない。私はビジネスで英語を使うのは苦手だが、コレクターとのコミュニケーションで苦労したことはない。単語は共通だし、考えていることも似たり寄ったりだから、たとえ何語であっても、大抵のことは通じてしまう。コレクターの気持ちは言葉の壁を越えるのだ。
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『しあわせの集め方 B級コレクションのススメ』には、私のコレクションのかなりの部分を掲載しているが、実はいまも、コレクションは少しずつ増えている。新たに加わったコレクションをご紹介しよう。
◇ガムの包み紙
集め始めたきっかけは、焼き肉の叙々苑で口直しにガムをもらったことだった。中身はロッテのフラボノガムなのだが、包み紙が叙々苑のオリジナル仕様になっている。「これは面白い!」と思ったその瞬間から、ガムの包み紙が私のコレクションアイテムに加わった。
以前、ウィンドウズ95が発売されたときに、オリジナルの記念ガムがノベルティーとして配られた。私はかなり後になって友人からそのガムを譲ってもらい、そのときにオリジナルガムを集めようと考えた。
ところが、いざ集め始めてみると、オリジナルガムはほとんど存在しないことが分かった。仕方なく普通の板ガムの包み紙を集めていたら、包み紙にバリエーションがあることが判明した。たとえば梅ガムには、花の数やメッセージが異なる6種類がある。しかも、このバリエーションは1パック買っただけではそろわない。逆にそれが、コレクター魂に火をつけてしまうのだ。
◇つまようじ
ペットボトルのフタ・コレクターの会合で出会った男性がつまようじも集めているという話を聞き、私も集め出した。つまようじは、飲食店やホテルに置いてあるので集めやすい。
普通の飲食店だと中に入っているのは普通のつまようじだが、高級店ではクロモジが入っている。ただ、それは外からは分からない。並べて分かるのは店名だけだ。私のコレクションの中では最も地味なモノだが、数が集まると何とも言えない味が出てくる。
つまようじコレクションの最大の問題は、包装紙がとても繊細で破れやすいということだ。最初は、集めたつまようじを無造作に鞄の中に入れてしまい、何度も駄目にしてしまった。いまは100円ショップで買ったアルミ製の名刺入れをつまようじ採集専用として鞄の中に入れている。これで、ほとんど傷つくことはなくなった。
◇クリアファイル
最近、クリアファイルをノベルティーとして街頭で配る企業が増えた。一度渡せば、ずっと使ってもらえるので、広告効果が高いことと、クリアファイルの中にパンフレットなども入れられるので効率的だからだろう。
最近は、手提げ形式のクリアファイルにたっぷり資料を入れて消費者に渡し、周囲を切り取るとクリアファイルとして利用できるものも増えてきた。企業広告が入っているので、企業モノのコレクションとしても楽しいし、凝ったデザインのものが多いので、今後有望なコレクターズアイテムだ。
だが、どこで配られるのか予想がつかないので、入手は意外に難しい。いまから本気でやれば、日本の第一人者になれるだろう。
