"異境"への小味な旅 『東京坂道散歩』冨田均著
東京散歩の本で知られる著者が、120の由緒ある坂道を紹介する。漱石の父が名づけたという新宿・喜久井町の夏目坂。鴎外の『青年』で、S坂とも呼ばれる文京区根津の新坂(別名・権現坂)。
お茶の水坂に関連して、大正時代に建てられたアパート(のち日本学生会館)に明智小五郎(江戸川乱歩が創った名探偵)の事務所があったというマニアックな記述も面白い。
東五反田の裕次郎坂は著者が命名。「嵐を呼ぶ男」で裕次郎が下った石段という。
(東京新聞出版局・1365円)
■「東京坂道散歩」