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清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(5)ミサワインターナショナル(中)

ミサワ・インターナショナル 東京の西郊 、小平市の住宅地に、間もなく竣工予定で総建坪40坪ほどの住宅が建築中である。左官業をしている田崎修康さん(30)と妻の里紗さん(21)が、間をおかず誕生する最初の子供と暮らすために注文したものだ。

 施工業者は世田谷区上用賀に本社を置く東京組(中野渡利八郎社長)。同社が扱うMISAWA Internationalの木造住宅「HABITA(ハビタ)」の第1号物件である。

 「家を建てようと決めたとき、和風モダンという感じの家を考えていた。で、仕事で長年付き合いのある東京組の中野渡社長に相談に行ったところ、木造ならツーバイフォー工法やスウェーデンハウスとか色々あるが、こういう家もあるぞと言って紹介してくれたのが、『HABITA』だったんです」

ミサワ・インターナショナル 修康さんは一目で、この「HABITA」が気に入った。
 「左官屋ですから色々な住宅に出入りする。しかし五寸角のしっかりした材木を使った家など見たことなかったし、その迫力にまず驚いた。太い分、耐久性もあるし、地震などが来ても安心。しかも、その柱を壁など内装で隠さずに、『露(あらわ)し』と言うんですか、そのまま見せるのも自然と親しむ感じがあっていい。加えて将来リフォームしたいと考えたときに、メーンの柱はそのままにして、かなり自由に部屋の配置を変えられるというのも心が惹かれた点ですね」

 イタリア調の住宅を希望していた里紗さんも、最初はイメージの違いもあってやや不満だったが、設計段階で自分の希望がほとんどかなえられたので、今は合格点だという。

 東京組の中野渡聡一郎取締役は、「ここ2、3年、お客さんの目も天然素材のほうを向くようになってきている。木を見たい、木を見せたいというようにね。ツーバイフォーなども、露しでできないことはないけれども、しかし、どうしても華奢(きゃしゃ)に見えてしまう。それに対して、集成材だとはいえ、やはり五寸角の柱はがっちりしているし迫力もある。年を経るにしたがって、木の艶が出て部屋に味わいも出てきますしね。そういうことで『HABITA』は今の時代に合うと思うので、これからもしっかり売っていきたいと考えています」―そう語ったうえで、こんな話も付け加えた。

 「当社には100人ほどの大工(2級建築士)がいるんですが、ようやく俺たちの出番が来たというので、急に鑿(のみ)を研ぎだした。彼らの技が生かせる住宅商品が出てきたということでしょう」

 「HABITA」について、先にミサワ・インターナショナルの木造住宅と書いたが、大手メーカーなどが販売しているパネル工法の住宅商品とはかなり違う。メーカーが工場ですべてを作り、販売も行ったうえで、下請けの工務店が組み立てるのではなく、ミサワ・インターナショナルが柱や梁などの大断面構造材や諸材料、それに基本設計を提供し、それを提携する全国の工務店がお客に売るという仕組みをとっている。工務店の裁量幅が大きく、ということは同時にお客の側の設計などに対する裁量も大きい商品なのである。それゆえ、冒頭の田崎さん夫妻のような感想が出るのである。

 次回、この新たな住宅商品、言葉を変えれば住宅ビジネスモデルをもう少し詳しく紹介するが、これを生み出したミサワ・インターナショナル代表取締役の三澤千代治氏は、こう付け加える。

 「世の中、ブランドの時代です。ブランド力がないとどこの誰のものか分からないから、商品はなかなか売れない。そこでミサワ・インターナショナルのもうひとつの役割として、『HABITA』ブランドをしっかり育成、浸透させていくことが加わる。これにより地方の工務店さんの信用度を増し、販売を支援していきたいと考えているんです」
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 三澤氏は、「従来型の住宅メーカーは冬の時代に突入している。それは1970年代に1人のセールスマンが月2棟売ったが、いまや4カ月に1棟が平均という数字を見れば分かる」という。

 そうなった一因には、力のあるセールスマンや工務店が独立し、地域に密着した住宅を供給するようになったことがある。ミサワホームも例外ではなかったが、今回、三澤氏が「HABITA」を本格的に立ち上げたところ、各地域のミサワ販社、独立した元社員、あるいは昔から付き合いのある工務店などから、販売提携の申し込みが相次いでいるという。

 本文中に出てくる東京組も、15年前に中野渡社長がミサワホームから独立して設立した会社。三澤氏の地域の工務店を核に据えた新たなビジネスモデルが、住宅業界の行き詰まりを打破してくれるのではないかと、高い関心が寄せられていることが分かる。

マーケティング担当の石川新治ミサワ・インター常務によると、「販売ネットは昨年10月時点で32社だったが、3月末で100社を超えた。適用される法律が異なる北海道を除いて、全国46都道府県を全てカバーし終えた。三澤千代治フアンも多いが、有力工務店のひとつ、千葉の家スタイルのようにあらたに関係ができたところも少なくない」という。
(経済ジャーナリスト)

清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(1)USJ(上)
清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(2)USJ(中)
清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(3)USJ(下)
清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(4)ミサワインターナショナル(上)

投稿日: 2008年05月09日

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