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数独の父・鍜治真起(かじまき)の「競輪百景」  第7景「場外車券売り場の楽しみは・・・」

 競輪場の門をくぐると、締め切り1分前のアナウンス。
焦って、走って、買って、結果、こないのが「飛び込み自殺」。
昔は穴場でしゃべれば買えたが、今はマークシートを塗る分、「飛び込み」の準備が必要なので、「自殺者」も少なくなった気がする。

 昔、私の友人夫婦が、鴨川(千葉県)で心中を図った。
警察から電話があり、夜中に東京からクルマを飛ばした。
ダンナは警察の拘置所にいたので翌朝に会うことにして、かみさんが担ぎ込まれた病院に行った。
彼女の手首には厚い包帯が巻かれ、顔面蒼白だったが、ホッとしたように笑ってくれて、事件は終わった気がした。

 ドッと疲れた。

 東京から鴨川まで100マイル(約160km)。
死んでいたらホントに浅田次郎の「天国までの百マイル」だったよ。ふー。
あ、小説とは関係ありません、この話。

 ここ数年、サテライト鴨川に行くことが多い。
釣りとくっつけて、遊びのハシゴ気分。
その場外車券場は山の中腹を切り崩して、眺めのいいところ。
今、遠くの棚田には水が入って、手鏡のよう。

 ここに来る客は、ほとんどがマイカーだ。
一人客が多く、静かにお行儀よく、車券を楽しんでいるムード。
農家のじいさんだろうか、漁師のおっちゃんだろうか、みなさん、立派な施設を満喫している。
都会の競輪場に必須の「喧噪(けんそう)」がまったくない。
場外ということもあるが、千葉の、のんびりした風土に生きた男たちの空気なのだろう。

 各競輪場に個性があるように、各地のサテライトにも個性がある。
ここにサテライトができて、私の鴨川のイメージは良くなった。

 心中未遂をした2人は今、仲良く管理人をして暮らしている。
今度、競輪を教えてみようか。   ((株)ニコリ”非常勤”社長)

投稿日: 2008年05月10日

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