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宋文洲の会社員哲学(9)「厚顔」を鍛えよう
昔、私はよく駅のゴミ箱に捨てられた週刊誌を拾って読みました。電車に乗っている間にそれを読み、下りる時に別のゴミ箱に入れていくだけです。
じろじろ見られながら恥を忍んでやっていましたが、読者に誓って、ケチのためではありませんでした。自分の「厚顔」を鍛えるためでした。
この「厚顔」は決して「無礼で恥知らず」ではなく、恥ずかしいながら自分の目標のために敢えて恥を忍ぶことを指します。恥には2種類あります。モラルに反したり、人に迷惑をかけたりするようなことは恥です。このような恥は自分以外の人から見ても「恥」だと分かります。これを「客観恥」とでも言いましょうか。
会議などで質問すること、知らない人に声をかけることも恥ずかしいと思う人が多いですが、この種の恥は誰にも迷惑をかけないし、モラルにも反していません。これを「主観恥」と言っておきましょう。
日本文化は「恥の文化」という議論がありますが、たぶん客観恥と主観恥の両方を分けていないと思います。モラルとルールをよく守り、客観恥を意識することは良いことですが、シャイで自分表現せず自己を持たない主観恥は良いとは思いません。
価値観の相違によって国によって恥の感覚が少し違うかもしれませんが、日本以外の国に「恥がない」訳ではありません。逆に日本の人々はもう少し主観恥を克服し、人と異なることに慣れてほしいと思います。
日本の教育でも個性が強調されますが、なかなか実効が上がりません。何しろ個性を持つ上での最大な敵は、この「主観恥」なんですから。個性と自立を確立し、チャレンジ精神を育成するためにも、たまには「厚顔」を鍛えてはいかがでしょうか。
(ソフトブレーン創業者)
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