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清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(6)ミサワインターナショナル(下)地産地消で活性化
千葉県東金市の郊外にMISAWA Internationalの大断面木構造住宅「HABITA(ハビタ)」のモデルハウスが建っており、毎日のように全国から住宅関係者が視察に訪れている。このモデルハウス、外見はごくシンプルである。「いい家は基本的にシンプルなものだ。飽きが来ない」という代表取締役の三澤千代治氏の確固たる信念に基づいて設計されているからである。
ここに先立ち福島県岩瀬牧場に建てられたモデルも、同様にシンプルな外見ながら周囲の環境にマッチした趣のある建物になっている。しかも、これらの住宅は「耐用年数200年を目指してつくられている」という優れもので、かつ機能的にも設備的にも大手住宅メーカーの提供する住宅と少なくとも同レベル。
だが、建築坪単価は40万円と大手のそれに比べ3割前後安い。安いだけでなく、単価についても材料費・工費別に明細が公表されており、買い手は安心である。
「HABITA」はミサワ・インターの住宅ブランドだが、柱や梁などの構造材、それに基本設計をミサワ・インターが提供し、提携する全国の工務店が客に売るという分業体制をとっている。工務店が客の注文にあわせ細部の設計改変が可能という、フレキシブルな商品企画でもある。そうした点にも従来の住宅商品と異なるビジネスモデルが組み込まれているのだが、耐用年数200年を目指しつつも、なおかつ坪単価40万円を可能にしている点にも、新たなビジネスモデルが導入されていると言ってよい。
「日本では木造住宅は地震に弱い、火事になれば燃えるとか、悪い面ばかり言われてきたが、法隆寺を見れば分かるように、十分乾燥させた木材を使えば千数百年はもつものなんです。私は飛騨や北陸の古い木造住宅を見て回るうちに、地域の木材を使って気候風土にあった住宅を作れば、200年住宅は十分可能だと考えるようになった。もちろん学者の研究もそれを裏付けています」
三澤はそう語り、なおかつ次のように付け加える。
「日本の住宅は海外から木材を輸入し、工場で一括加工され、そして現場に運ばれる。ということは相当額の運賃が住宅費に含まれているということです。環境負荷も大きい。一方、日本の木材ですが、伐採適齢期の樹齢50年を超える人工林の面積が今後10年で倍増して全体の60%を占めるようになる。国産材の供給力が大きく高まるということです。この木材を地産地消で活用すれば、運送コストも減り、環境負荷も減らすことができ、地域活性化にも役立ち、なおかつ200年住宅もできるわけです」
「HABITA」の核となるのは15センチ角の構造材である。しかし、これを1本の丸太からとるとなると、ただでさえコスト高の国産材では無理である。また自然材だとたわみや狂いなども生じる。乾燥させていないと腐ることもある。そこでミサワ・インターでは集成材を用いてコストを押さえる一方、乾燥度の高い木材の使用で建築後のたわみや狂いをなくすようにしているのだ。梁やそのほかの用材でも基本は同じである。
地産地消で、長寿命、環境負荷も少ない。地元の経済にもプラスなど多くの点でメリットのあるこの「HABITA」だが、問題がまったくないわけではない。200年という長寿命を確保するための技術の確立が最大のものだが、直面している問題としては、まず地域によっては良質な木材が手に入らないという点があげられる。いい木材はあるし、製材工場もあるのに、ミサワ・インターの基準に合う集成材加工が可能な工場がないことも問題である。
販売も地域の工務店と提携して行う一方、構造材などの製造も、全国の製材所・集成材加工工場とタイアップして生産し、あわせて地産地消の輪を完結しようというのが、ミサワ・インターのビジネスモデルだが、輪っかの一部がまだ完全でない地域があるところが、まだ問題として残っているということだ。
「私の経験からいうと、経営者が起業して上場する条件は、5年間無給で、1日16時間働くこと。これをやった人だけが、上場によるキャピタルゲインを得られるのです」
創業したミサワホームを辞めて今年で足かけ5年。三澤は最高齢創業者による上場に向けた最後の1周を、欠けている輪をつなげるために走り回っている。
(経済ジャーナリスト)
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ミサワ・インターが今もっとも力を入れていることの1つが、製材・集成材工場のネットワークづくり。石川新治常務によれば「3県から4県に1工場は確保したいと考えている」という。三澤氏がそのことでもっとも驚いたのは、宮崎県の東国原英夫知事。ある会合のあと、突然、訪ねてきて、「ぜひ、南九州で工場をつくる際には宮崎で」と頼んでいったという。
「いやぁ、ほんとうに聞きしにまさる熱心さでしたね」。確かに宮崎の木材生産量は北海道に次ぐ全国2位。製材工場も少なくない。だが残念なことに、これはという集成材の工場が見つからないのだとか。
「熊本、宮崎、鹿児島で1工場と考えているんですが、目下のところ未定です」(三澤氏)
■清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(1)USJ(上)
■清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(2)USJ(中)
■清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」新しい出発(3)USJ(下)
■清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(4)ミサワインターナショナル(上)
■清丸惠三郎「企業戦略ウォーズ」(5)ミサワインターナショナル(中)




