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日本の病巣~ひきこもる大人たち(6)正義感がアダ、こじれる関係
「足が痛い」―大手企業に勤める40代前半の田中さん(仮称)は、そんな症状を最初に訴え始めた。以来、1年以上にわたって会社を休んでいる。
その頃から、朝、目が覚めても、体がだるくて、起きられなくなった。もともと、不眠の症状も続いていて、やがて出勤できなくなった。
きっかけは、些細(ささい)なことだ。上司が、本来仕事に使うべき予算を使い、適当な名目をつけて、不必要な備品などを買いあさっていた。田中さんは持ち前の正義感から、そんな不正がどうしても許せなかったという。
上司に「こういうものを買うのは禁じられているのではないか」と指摘した。上司は「わかった。部長とも話し合おう」と答え、3人で話し合いの場を持つことになった。しかし、逆に部長から「田中君は被害妄想的なんじゃないか? どうも体の調子も悪そうだね。医務室へ行きなさい」と勧められてしまう。
医務室では外部の精神科へ行くよう促された。しかし、精神科で医学的に検査しても、どこも異常がない。統合失調症の症状もなく、うつ状態や痛みを防ぐための治療を受けた。
医師は「足の痛みは、精神的な問題からくるのではないか」と診断。医師の診断書も出たので、会社は休職扱いとなった。
田中さんは、結婚していて、妻と小さな子供が1人いる。専業主婦の妻は心配するものの、彼は働きに出ようとしない。家では時々、子供と散歩したり、公園でバスケットボールをしたりする以外は、基本的に引きこもりがちになった。昼は近所の目への後ろめたさで、つい外出をためらうからだ。しかし、夜になると、安心感から活動を始め、夜中はずっと起きるようになった。不登校児と同じ心理だ。
「あの2人の上司をいまも恨んでいる。きちんと対応していてくれれば、こんな状態にはならなかった」と、田中さんは憤る。正義感が仇になるところも、引きこもりの典型的なケースの1つだ。
「共通するのは、上司との関係がこじれたときに、うまく修復できないタイプの人たち。折り合いが付けられず、なかなか復職もできなくなるんです」
事態が長引く理由を産業カウンセラーは分析する。
次回、上司との関係をさらに検証する。
日本の病巣~ひきこもる大人たち(1)
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