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「言葉のタネ明かし」リンリン死ぬ-「亡」は人間の死に用いられるもの
上野動物園の人気者だったパンダのリンリンが先月30日に死んだ。新聞各紙を見てみると、「大往生」や「昇天」といった見出しを立てて大きく報じていた。さすがに「死亡」と伝えた新聞はなかったのではないかと推測している。
もともと人は、人の死を尊厳なるものとしてとらえたことから、直接的に「死ぬ」と表現するのをためらい、「無(亡)くなる」「隠れる」などを使った。だから「亡」の字のついた「死亡」は、あくまで人間の死について用いられる言葉とされているのである。
いくらリンリンが国民的アイドルだといっても、パンダのような動物に「死亡」を使うのはやはり行き過ぎだ―という考え方が新聞界の大勢である。かといって新聞の見出しで「リンリン死ぬ」と書くのも、何となくぶっきらぼうに思われたのだろうか、それに言葉の据わりもよくない。そこで新聞は「昇天」やら「往生」やらを使ったのではなかろうか、というのが私の推論である。
同様に、「遺体」という言葉もふつう、人間以外には用いない。動物では「死体」と言い換えるのが一般的である。昆虫のような小さな生物については「蜂(はち)の死体」というのも違和感が強く、このような場合は「死骸(しがい)」を使うなどするのがよいだろう。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
■その他の「言葉のタネ明かし」
「伸るか反るか」 「汚名挽回」 「蛙の子」 「嘘」 「悲喜こもごも」 「口腔」 「大安」
