この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
日本の病巣~ひきこもる大人たち(7)上司の詰問に涙…
大手企業の技術職に勤める30代前半の佐藤さん(仮称)も、直属の上司との関係が原因で引きこもった。
佐藤さんにとっては、上司から与えられる課題は難し過ぎた、という。しかし、上司に相談しても、自分の仕事で忙しく、取り合ってもらえない。佐藤さんは、不眠症に悩み始める。
会社の玄関をくぐろうとすると、急に動悸がして気持ち悪くなり、家に引き返すようになった。理由を聞くと「あの上司の顔だけは見たくない」という。そして、次第に出勤できなくなった。
きっかけは、会議の席で、上司にかなりきつく詰問されたことだった。佐藤さんは「いままで何も教えてくれなったのに、皆の前でそこまで言うのか」と、涙が止まらなくなったという。
会社では、一般的に2週間以上出勤してこない社員がいれば、懲罰の対象になる。こうしたご時世だから、人事担当者も放っておくわけにはいかない。欠勤を続ける本人や家族に連絡を取って、本人を健康管理室や医務室に連れて行こうとする。しかし、医師に診てもらっても、病気には見えない。結局、佐藤さんは「適応障害」と診断された。
医師の治療によって、不眠などの症状は改善された。それでも、なかなか出勤しようとはしない。
上司は「そんなに嫌なら、他の職場に異動させよう」と提案した。しかし、佐藤さんは、その上司のいる「会社そのものに拒否感」を持ってしまったという。
「人前で辱められたことを我慢せずに、涙が止まらなくなる反応をしたのは、自然なことです。いままでは、個人を殺して耐えて適応していくのが、会社員として当たり前だった。ただ、彼は折り合いをつける道をとらなかった。そうしているうちに、休職期限が過ぎて、会社から消滅していく人たちも少なくありません」と、産業カウンセラーは会社側の対応の限界を明かす。会社の玄関に入れなくなる症状は、登校拒否がそのまま移ってきたような図式だ。ただ、会社を辞めていった彼らがその後、どうなったのか。追跡されることはない。「大人の引きこもりが数多く潜在化しているのでは」といわれるゆえんだ。
次回も、「玄関をくぐれなくなったケース」を紹介する。
日本の病巣~ひきこもる大人たち(1)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(2)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(3)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(4)残業中、緊張の糸が切れ
日本の病巣~ひきこもる大人たち(5)会社の流れに乗り損ね
日本の病巣~ひきこもる大人たち(6)正義感がアダ、こじれる関係

