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「言葉のタネ明かし」ぞっとしない-面白くない、ぱっとしない
「今の映画は、あまりぞっとしないものだった」。この中の「ぞっとしない」の意味について勘違いしている人が随分多い。文化庁が昨年発表した「国語に関する世論調査」の結果では、「恐ろしくない」と答えた人が全体の54%にも上った。16~19歳の若者に限ると何と、8割以上がそのように答えている。
ホラー映画などを見たとき、「あの場面では、余りの怖さにぞっとしたよ」と言ったりする。「ぞっと」とは「寒気・畏怖・恐怖などで瞬間的に心身が縮むような冷気を感ずるさま」(広辞苑)だから、「ぞっとしない」はそれとは正反対、つまり「身が縮むほどの寒気も恐怖も感じない」と思ってしまうのである。
なかには「あの子のファッション、結構いけてるじゃん? ちっともぞっとしないね」などと、完全な褒め言葉として使っている若者もいる。「ぞっとしない」は実は、褒め言葉とはまったく逆で、「それほど感心したり面白いと思ったりするほどでもない」(同)ときに使う言葉なのだ。「ぞっとするほどの刺激もない」ところから「面白くない、パッとしない、感心しない」の意味になったというわけである。
えっ、「このコラムもあまりぞっとしない」ですって? ウーン、「ぞっとしない」の用法としては、それで正しいのですが…。
(産経新聞大阪編集局校閲部長 清湖口敏)
■その他の「言葉のタネ明かし」
「死亡」 「伸るか反るか」 「汚名挽回」 「蛙の子」 「嘘」 「悲喜こもごも」 「口腔」

