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映画決めゼリフ長江哀歌(エレジー)
お前の田舎は美しいのかな…いいところじゃないか
本作をドラマのつもりで見ると退屈するだろう。
話は山西省に住む男と女が、それぞれ16年前に別れた妻子、2年以上連絡がない夫を捜し歩くというストーリー。はっきり言って盛り上がりはない。
むしろこの映画は、写真や絵画の美術展を1時間40分ほどかけて鑑賞するような、そんな味わい方で接するとグッと輝いてくる。
描かれるのは、中国・重慶市、三峡ダム建設に伴い水没していく奉節という街で暮らす人々の姿である。ミレーの絵画「落穂拾い」の農夫らの姿のように、湖底に沈むビルを解体する労働者の姿をただ映している。だがその映像は小津安二郎風の独特の時間感覚を持っているから不思議だ。そこには、変わりゆく中国の危うさと住民らの不安がくっきりと描かれている。
10元札に描かれた、杜甫も詩に詠んだ長江三峡の風景。労働者が主人公の男に見せて自慢する。男も50元札を取り出し故郷を流れる黄河の滝の絵を見せるのだ。そのとき労働者がこのセリフを呟く。
かつて日本でも開発こそが人々を豊かにするものだと思っていた時代があった。だがそのために故郷の風景などたくさんの良いものを失った。いま中国がその道を辿ろうとしているようだ。ときにはちょっと真面目に、変貌する中国のことを、このDVDを見て考えたらいかがだろう。本作は2006年ヴェネチア国際映画祭グランプリ受賞。
2007年8月公開。本編1時間43分。発売・バンダイビジュアル、5250円。

