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『のぼうの城』-「でくの坊」大将Vs石田三成
全く新しい歴史小説が話題だ。和田竜著『のぼうの城』。埼玉県行田市の忍城を舞台に「でくの坊」転じて「のぼう様」と呼ばれた総大将、成田長親率いる田舎武士団が石田三成らの10倍の大軍を打ち破る痛快劇。映画化計画も進む。武勇も知略もないのに部下や領民から絶大な人気だけはあるという新ヒーロー誕生の舞台裏に迫った。
――執筆のきっかけは
「行田出身の知り合いから『三成らが水攻めしても落ちなかった忍城の話を知っているか』と言われたのが最初。歴史上のビッグネームが聞いたこともない城に攻めた事実がまず、面白かった」
――のぼう様の着想は
「史料に丹波や靭負の働きは詳しく出てくるが、長親の武将らしい活躍はほとんどない。トップが『皆ついてこい』の猛将だと安っぽいが、のぼう様みたいだと下にいる人間たちを生き生き描けると考えた」
――長親は生来のバカなのか、部下らを奮起させるための演技か
「僕にもよく分からないが、小説では長親をすごいとかダメとか判断しているのは三成や丹波ら第三者。光の当て方によってさまざまな面が見えてくるキャラクターにした」
――合戦で丹波ら武将が三者三様に戦ううえ、非常にスピード感がある
「イメージしたのは映画『スターウォーズ』。主人公がデススターでダースベーダーと戦っている一方、別の人物が別の惑星で戦うみたいな。3者が一斉に劣勢になったかと思うと、一緒に勝利に向かっていく。僕はこれが好きだ」
――実戦経験がなく、書物で兵法を学んだだけで天才と思い込む若武者、靭負の活躍が爽快だ
「頭でっかちで自分は絶対大きなことをやれると思っている。若者は根拠のない自信しか持ちようがない。僕自身そうだったし、今もそんな感じ。どんなにバカにされてもまずそれを持たなきゃ。それが後にいい仕事をさせる。そんな人物に靭負を描いた」
――脚本や小説を書き始めたのは
「ロバート・デ・ニーロみたいな役作りが面白そうで大学の劇団に入った。脚本を書くうち、書くのが面白くなった。司馬遼太郎や山本周五郎などの歴史小説を読むのは好きだった。書いて撮ることがしたくて番組製作会社に入ったが、下働きで書いているヒマはない。3年で辞め、書くことが仕事にできる新聞社に入り、コンクールに送っては落ちを5年間繰り返した」
――次作の予定は
「5月末に、伊賀攻めを題材にした忍者物『忍びの国』を出します。忍者が合戦をするところに惹かれました。出てくる人間も面白い。今後は脚本でも小説でも歴史物を書いていきたいですね」
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物語
1590年、天下を目前にした豊臣秀吉が関東攻めを行う。北条家の城が次々落ちるなか、石田三成、大谷吉継、長束正家の軍勢2万を相手に、成田長親は籠城を決意。正木丹波、柴崎和泉守、酒巻靭負という個性豊かな武将の活躍で、空前絶後の水攻めに打ち勝つ。
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わだ・りょう
1969年、大阪府生まれ。早大卒。テレビ番組製作会社を経て現在、業界紙勤務。2003年に本作の脚本版『忍ぶの城』で、シナリオ新人賞「第29回城戸賞」を受賞。本作で小説デビュー。




