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瀬名秀明「イヴのみる夢」(35)-蛇のように膜でドライアイ防止
仕事でいつもパソコン画面を見つめていると目薬が手放せない。まばたきの回数も減り、目も疲れてドライアイ気味になる。
ドライアイにはふだんから涙量が少なくて乾燥する場合と、「シェーングレン症候群」のように涙が出ない完全ドライアイの病気がある。後者は免疫反応をつかさどるリンパ球が自分の涙腺を誤って攻撃してしまう病気だ。
最近『涙のチカラ』という面白い本を出版した慶應義塾大学の坪田一男教授は、ドライアイの研究を始めたころ、目が痛くて仕方がないという患者さんに「ではもう仕方がないですね、目を閉じていてください」といってしまったそうだ。しかし後日「先生、1日目を瞑っていましたがさらに痛みがひどくなりました」といわれてハッとした。ドライアイは乾燥を防ぐだけでは治らない。
涙は目尻の上側にある涙腺から分泌されて、目頭の上下2カ所にある涙点という穴から吸い込まれて鼻腔へと排泄される。ドライアイを防ぐには、まず涙の蒸発を抑えることが肝心だ。テレビやパソコンのモニターを下方に置くことでまぶたの開きを抑え、蒸発を防げる。
最近は涙点の一方にワイン栓のような「涙点プラグ」を差し込んで涙の出口をふさぐという画期的な治療法も普及しはじめたが、プラグが抜けやすいのが欠点だ。旅行中にプラグが抜けてしまうと困ったことになる。
涙には血清と同様の成分がたくさん含まれており、この諸成分が目を健康にする。だから目が乾いたからといって水で洗うのは逆効果だ。
未来のドライアイ治療を夢想してみよう。まずは近年注目を集めているiPS細胞の再生医療に期待がかかるが、ひょっとしたら目尻にナノマシンを組み込んで、血液から血清を自動的に分離して適量だけ目に送り込むような夢の技術も出てくるかもしれない。
あるいはSF映画っぽく、特殊な膜で目を覆い、涙の蒸発を防ぐのはどうだろう。実はヘビは透明なウロコで目を覆って乾燥を防いでいるのだ。そしてときどき脱皮して、膜を交換するのである。
■瀬名秀明「イヴのみる夢」
(34)未来の福祉ロボットのヒント
(33)他者の痛みが分かる「感情移入」能力
(32)セクシー美女が大バクチを呼ぶ
(31)骨伝導で語学学習や音楽を堪能
(30)体格と性格の相関をメタボ対策に応用
(29)お菓子感覚でキッズサプリ
(28)ご飯のお供にワクチンふりかけ
(27)歩くだけで5ワット! 人体発電機
(26)ミトコンドリア・ダイエット
(25)肥満解消に魔法の弾丸
(24)脳に埋めたチップが支援
(23)遺伝子操作で神経回路オン・オフ
(22)細胞をプリンターで印刷
(21)家禽の遺伝子改変で抑制も
(20)脳を活性化するサービス
(19)日本語は感染症予防に効果的!?
(18)心の痛みに効く処方
(17)“予知”能力もトレーニングできる
(16)「ゆらぎ」を活用する生命
(15)標識付きウイルスで伝播追跡
(14)父親から受け継ぐ「寿命の回数券」
(13)人類のⅠ型糖尿病も同じ!?
(12)「し忘れ」と「し間違い」の脳科学
(11)体外離脱でメンタルヘルスケア
(10)仮想空間で運動障害をリハビリ
(9)「アルツハイマー病予防で残りの人生謳歌」
(8)「ロボットと運動する楽しさ」
(7)「ペットが分身に?」
(6)「オヤジ臭さ」撃退!
(5)「人間の脳と機械の体を"融合"」
(4)「自分の脂肪でケータイ充電」
(3)「自分の一部を機械が操作」
(2)「ゲノム情報を読み取る」
(1)「ミトコンドリア占い」


