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「サラリーマン小説再読」『オレたちバブル入行組』
就職戦線が売り手市場だったバブル絶頂期の1988年が物語の序幕。就職協定も何のその、慶大生の半沢直樹に呼び出しの電話がきた。相手はメガバンク東京中央銀行の前身。優秀な学生は囲い込まれ、内定が出た半沢らは缶詰めにされる。結局、慶大から5人が採用され、夢を語り合うが、半沢にはなかった。
入行から16年後、大阪西支店融資課長の半沢は支店長の指示で、中堅鉄鋼会社に5億円の融資を行う。だが、無担保融資だった同社が倒産してしまう。5億円の焦げつきは、本社でも問題に。詰め腹を切らされそうになった半沢は鉄鋼会社の財務資料を読み直し、粉飾が行われたと知る。
鉄鋼会社のあおりで連鎖破綻した経営者と真相の解明に乗り出し、倒産が計画的だったこと、10億円の隠し預金があることを突きとめる。さらに同期入行組の協力も得て、支店長と鉄鋼会社社長との癒着を暴き、不正に立ち向かう半沢はもはや夢のない男ではなかった。実父の「ロボットみたいな銀行員になるなよ」の言葉も思い出される。
銀行がバブル崩壊で欠陥を露呈するさまが巧みに描かれる。江戸川乱歩賞作家の著者は慶大卒、三菱銀行勤務経験がある。
(文芸コラムニスト・長野祐二)
