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ベテランも生え抜きもいない巨人、人気低迷は必然
■江尻良文編集委員「球界に直言!」
阪神の40歳トリオ、4番・金本知憲、左腕エース・下柳剛、捕手・矢野輝弘が3人揃ってヒーローインタビューのお立ち台に上がり、甲子園のファンを熱狂させるなど健在ぶりをアピール。3年ぶりのリーグ優勝へ快進撃を続ける岡田阪神の原動力になっている。金本が広島、下柳はダイエー→日本ハム、矢野も中日からそれぞれ移籍した選手だが、まるで生え抜き選手のようにとけ込んでいる。
そんな40歳トリオに負けない人気を誇るのが、正真正銘の生え抜き選手、7月1日で39歳になる桧山進次郎だ。今季も代打だけでなくスタメンでも起用され、ここ一番で真価を発揮している。甲子園での桧山コールは熱狂的だ。
阪神を追う中日には今季から兼任打撃コーチになった立浪和義がいる。8月19日で桧山と同じく39歳になる。「代打・立浪」の場内アナウンスがあると、ナゴヤドームは大歓声に包まれる。今季はなかなか結果が出ないが、ファンの熱烈声援は変わらない。
ファンの圧倒的な支持を得る、セ・リーグ2強の阪神、中日のいぶし銀の生え抜きベテラン選手。そういう存在が巨人にはいない。移籍先の横浜で奮闘している36歳の仁志敏久が、一時期は桧山、立浪に近い存在になっていた。当時、巨人一の人気といわれた清原和博(現オリックス)にも負けないくらいの熱い声援が送られていた。が、原監督との折り合いが悪く、横浜にトレードされてしまった。今、清水隆行に対する東京ドームの声援には仁志に近いものがあるかもしれない。
ファンが拍手喝采する生え抜きのベテラン選手の存在は、そのチームの象徴でもある。チームの顔ともいうべきベテラン選手が不在では伝統も何もあったものではない。「巨人らしさがなくなったのは当然だろう。オーナー、監督が三顧の礼で迎えた大物FA選手にはコーチや選手は何も言えないだろう。自然と伝統など消えてなくなる」とは、元V9ナインのOBの怒りの声だ。
他球団の主力を引き抜いてばかりでは、アマ球界からも愛想を尽かされる。「巨人に行っても、次から次へと他球団の主力が入ってくるから、レギュラーになれない。他球団でチャンスをつかんだ方が良い」ということになるからだ。有望な若手選手が入ってこなければ、将来、チームを代表するベテラン選手も出てこない。悪循環に陥る。巨人戦の5月のナイター平均視聴率が9・5%と過去ワースト記録を作ったが、もう誰も驚かない。地上波のナイター中継がないことすら当たり前になっているからだ。巨人人気の低下がどこまで進むのか。巨人の黄金期を知っているだけに、空恐ろしい気がする。
