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仕事に殺される前に過労死を防げ(下)

 過労や職場のストレスが原因でうつ病などの精神疾患に罹り自殺するサラリーマンが近年急増している。昨年度、労災認定されただけでも過去最悪の81人(未遂も含め)が「過労自死」だった。もちろん自殺者3万人時代では氷山の一角だが、仕事に殺されないために踏んではいけない職場の“地雷”は何か?

■労働時間だけが元凶じゃない
 昨年度、脳・心臓疾患で労災認定された392件中、1カ月平均の時間外労働が60時間未満では皆無。一方、精神障害では268件中、60時間未満は103件(うち自殺20件)。精神疾患においては必ずしも長時間労働だけが主な原因というわけではなさそうだ。

 「長時間労働による睡眠不足の結果、心身ともに疲労困憊(こんぱい)し、それが原因でうつ病に罹る。が、精神障害で注意したいのは要因の頻度に加えてストレスの大きさ」と話すのは、過労死問題を専門とする国立公衆衛生院名誉教授の上畑鉄之丞医師。

■最も注意すべきは「パワハラ」
 過労自死例を調査したところ、ひとつの事例が抱える自殺に関連した要因は平均約4個。
長時間・不規則労働(約80%)、予期し得なかった重大事(約43%)、いやがらせ、パワーハラスメント(約43%)、過大な仕事責任(約35%)などを半数近くが経験していたという。

 ただし、各要因の感じるストレスの大きさを調べ、並べ替えてみると別表のとおり。「いまは成果主義によるノルマの突き上げ、上司のパワーハラスメントが発症にもっとも大きく関係している」と上畑医師は訴える。

■自死を選んだあるサラリーマン
 大手製鉄会社勤務。妻と息子2人の4人家族。自殺する半年前に係長に昇格、現場グループの総責任者に。朝7時前に出勤し帰宅は23―24時、週2、3回は深夜。休日は半年で2日間。仕事では、製品の納期遅れがあり、上司に相談してもサポートがない。健康状態は、物忘れが多く、怒りっぽくなり、寝汗がひどく、微熱が続いたが精密検査では異常なし。死亡2週間前、朝起きるなり「仕事が思うように進まない。死にたい気持ちだ。わしは馬車馬か」と怒鳴りながら会社に行き、直後に「さっきはどうかしていた」と帰宅、再び出社。当日は朝食もとらずに出勤し、夕方、会社の屋上から飛び降りた。精神科などの受診歴はなかった。

■無関心な上司
 自死に至るまでの身体不調を家族の70%は気づいているが、同僚では30%未満、上司に至っては10%未満。

 職場での周囲の過労死に対する関心の低さが、自殺を増幅させているといえるだろう。職場、社会、すべてがゆとりを失った現代、最後の砦は自分の身は自分で守る“自衛”の意識だ。

《職場に潜む「危ないストレス」ランキング》
1位 いやがらせ、パワハラ
2位 仕事の目標が達成できない
3位 人間関係のトラブル
4位 長時間残業、深夜・休日労働
5位 予期し得なかった重大な出来事
6位 不本意な配置転換
7位 過大な仕事責任

仕事に殺される前に過労死を防げ(上)

投稿日: 2008年06月23日

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