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『シャーロック・ホームズの冒険』収録『赤髪組合』コナン・ドイル著
就職ほど困難なものはなく、それだけに決まる喜びは大きい。そんな求職者の心理を巧みについた物語。
名探偵シャーロック・ホームズのもとに、ある日燃えるような赤い髪の男が訪ねてくる。男は奇妙な話を始めた。2カ月前、新聞に「赤髪(あかげ)組合に来たれ」という広告が出たという。組合創設者の富豪が赤髪だったため、赤髪の男に条件のよい仕事を与えるというものだ。
質店を経営しているものの、営業不振で別収入がほしかった男は面接に急いだ。会場の入り口は赤髪男だらけ。合格はおぼつかないと、あきらめかけたが、面接官からいきなり「あなたに決めました」との言葉。勤務は午前10時から午後2時まで。給与は破格の週給4ポンド。大英百科事典のAの項から順々に紙に書き写していくというもの。実に簡単な仕事だ。
半信半疑で初出勤すると、相手は男が仕事を始めるのを見届けた。これで1年に200ポンドもらうとは悪い気さえしたが、もちろん男は毎日出勤、その間、男の家は雇い人1人の状態になる。
ところが、組合は解散、途方に暮れた男は相談に来たのだ。精巧に仕組まれた犯罪と名探偵は察知する。男が採用された理由が謎を解く鍵。
採用は求人側の思惑がすべてという真理を含んだこの物語は著者の第1短編小説集に収録されている。
(文芸コラムニスト・長野祐二)
