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宋文洲の会社員哲学(15)偽装「終身雇用」との格差
秋葉原の無差別殺人はどんな言い訳も許せない卑劣な犯罪です。しかし、犯人を追い込んだ理由の1つは雇用不安だったことは事実です。
派遣サービスは世界でも確立されているサービスで、非難される必要はありませんが、日本の派遣サービスはある特別な事情によって歪められています。それが「終身雇用」という偽りの制度です。
労働力が絶対的に不足していた高度成長期においては「終身雇用」は確かに確立し機能していました。しかし、バブル崩壊後、日本も「普通の国」になり、大量リストラを断行したうえ、正社員を減らし派遣社員を増やしてきました。
本来、「終身雇用」とは雇用全体に適応する制度であるべきなのに、派遣社員などの非正社員を除外しているのです。この時点で既に終身雇用というべきではありませんが、大手企業は人材の確保と世論の受けを狙って、少数の正社員の雇用だけを守る姿勢に変わり、これを「終身雇用」と自称するのです。
実はこの偽装「終身雇用」こそ、格差の元凶です。やる気のない正社員が、ひたむきに頑張る派遣社員をあごで使うことは、もはや日常風景です。派遣先でトラブルに遭っても、派遣社員は我慢するしかありません。派遣企業にとって派遣先はお客様であり、不愉快にさせる訳にもいきません。
正直言って、日本の格差は諸外国と比べて小さいと思います。むしろ公正な所得差までも「格差だ」と過剰に騒がれることがよくあります。しかし、この雇用の格差だけは本物です。安月給よりも、固定された「格の差」が絶望を招くはずです。特に小学校から給食や制服を通じて「同様である」ことに慣れた日本の若者にとって。
(ソフトブレーン創業者)
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