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石田衣良『夜の桃』―大人のセックス 濃くてアツい
若者の日常を独特な筆致で描く石田衣良さんが、大人の濃厚なセックスを描く異色作『夜の桃』を刊行した。中年男が20、30、40代の女性とそれぞれに紡ぐリアルな性描写が話題だが、自身も48歳を迎えながら「性への可能性は一切捨てない」と宣言。主人公とダブるほどアグレッシブな石田さんのアツい“性愛観”に迫った。
――今年で48歳。なぜこの時期に
「最近の男は、とにかく欲望が低下しているので、思いっきり挑発してやりたかった。大人の性愛はアツく、面白いとね」
――本作ではセックスへの欲求が大きなテーマ
「現代は清潔の時代。エロスが激減し、若い作家でもベッドシーンを描ける人は皆無です。でも、性愛は純粋に浄化されたもの。嫌悪や罪悪に支配されるものではありません」
――浄化?
「人間が生きる限り、セックスは決して避けては通れないもの。そしてその深さは無限。そうした思いは、48歳のいまでも尽きることはない」
――若者の性が乱れていると言われるが
「それは大間違い。日本は初体験の年齢が上がっている。しかも、理由の1位は『愛しているから』。10代で愛なんて分からないし、そんなことを言っていては性的には成熟できない。いまは乱れるどころかストイック過ぎるね」
――女にモテない若者が無差別殺人を起こした
「彼らの一番の問題点は、可能性を全部簡単に投げ捨ててしまうこと。現時点の容姿や経済的な条件だけで、未来も固定されたものと決めつけ、自分が変わる可能性を投げている。何がどうなるか分からない不安こそが可能性なのです」
――どうすればよかった
「嘆く前に、渋谷の駅前で1週間、手当たり次第にナンパしてみたらいい。絶対に彼女はできる」
――本作で石田さんはどう変わっていく
「欲望の連鎖は永遠に止まらないから、最後まで踊り続ければいい。みんな性愛に関してあまりにも見切りが早すぎ。私にとって性愛を主題にした作品は一生の仕事です」
――年齢は関係ない?
「渡辺淳一さんみたいな“アニマル”にはなれないが、年をとるごとに風俗に近づいていきたい。エロじじいの方が断然、良い仕事をする。エロスはすごく楽しいし、永遠の謎です」
――ところで、石田さんの性愛生活は
「現実の私? そりゃ、いろいろありますよ。でも3人は無理(笑)。理想は2人かな。3人だと下手に順位がついて辛くなるからね」
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物語
45歳の主人公は妻とも濃厚な性生活を持つ一方、30代女性とも浮気を続けてきた。そんな折、20代女性と衝撃的な“体の出会い”を果たし、3人との女性関係、3世代のエロスに翻弄されていく。
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いしだ・いら
1960年東京都生まれ。83年成蹊大経卒。フリーター、広告会社を経て、2003年『4TEEN』で直木賞受賞。97年に発表した『池袋ウエストゲートパーク』(オール讀物推理小説新人賞受賞)はシリーズ化され、人気が高い。


