この記事を読む方におすすめの記事
今!気になるレビュー
『磯崎新の「都庁」 戦後最大のコンペ』平松剛著
“バブルの残滓”のような巨体を晒して新宿西口にそびえ立つ東京都庁舎。設計したのは日本を代表する建築家、丹下健三(故人)である。本書は、都庁舎のコンペが行われた1985年から翌年にかけて“大本命”の丹下に闘いを挑んだ磯崎を描いたノンフィクションだ。ともに東大建築科出身の師匠と弟子。ピークを過ぎた丹下と上り坂の磯崎。そのオドロオドロしくも、エゲツない闘いぶりが極めてリアルに再現されている。
コンペの説明会場のエレベーターで2人が偶然出会うときの描写が面白い。丹下は磯崎を徹底的に無視する。「絶対に負けられない」丹下にとって磯崎がコンペに参加すること自体が不快なのだ。
結局、磯崎は勝てなかったが、約10年後、彼が都庁のコンペに出した設計にそっくりな建物をお台場で見つける。設計者の名前はなんと「丹下」となっていた。 (文芸春秋・2300円)
