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日本の病巣~ひきこもる大人たち(13)日本人の9割が持つ不安感じやすい遺伝子

 最近、注目されている30、40代の引きこもり。多くの会社員は組織に適応して、社会生活を送っているようにみえる。しかし、一方で、体の動かなくなる大人が現れるのは、なぜなのか。

 脳システム論の専門家で、『不老脳―40代からの脳のアンチエイジング』(アスキー新書)などの著書がある、諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授は、「そもそも、よくここまでみなさん環境に適応して出社していると思う」と前置きの上、こう指摘する。

 「1つの要因として、不安や恐怖を感じやすい遺伝子が想定されます。代表的なのは、セロトニンの不安遺伝子。ただ、日本人は約9割が持っているため、米国人の3、4割に比べて多く、人と打ち解けるのが苦手な民族性がある。このような素質をベースにしながら、ストレスがかかりやすく、疲労の重なる状況が、不安を回避するシステムを壊していくことになるんです」

 たとえば、人を見たとき、好き嫌いを決める扁桃体が、嫌いな反応で強く出るという。だから、どんなに人がよくて、人間関係が得意なタイプでも、目が正面から合ってしまうと、扁桃体が一種の恐怖反応や拒否反応を起こすらしい。

 「人の目線を怖がるのは、扁桃体や島(とう)という脳の恐怖反応システムが過剰反応するからなんです。とくに小さい頃、殺されかけるようなPTSD(心的外傷後ストレス障害)に近い強烈な体験をしていると、そのシステムに破綻が起きやすいんです。不安を感じて、意欲がわかない。疲労がなかなか抜けないのも、脳のメカニズムを支える上で脆弱さがあって、それを覆うような体験が多少不足しているんです」

 さらに、システム破綻を発現させるのが、ストレスなどの環境因子だ。

 30代から40代にかけては、中間管理職になる時期。上からのプレッシャーと、下からの悲鳴にはさまれる。すると、脳の中で知的活動をつかさどる前頭葉の外側に負荷がかかって、内側から下にかけてのシステムも負荷を受けやすくなるというのだ。

 次回、この脳のメカニズムについて、より詳しく解明したい。

日本の病巣~ひきこもる大人たち(1)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(2)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(3)
日本の病巣~ひきこもる大人たち(4)残業中、緊張の糸が切れ
日本の病巣~ひきこもる大人たち(5)会社の流れに乗り損ね
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投稿日: 2008年07月07日

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