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競輪取材ノート「ある1冊の本」

 先日、東京・自由が丘の古書店で、偶然、目に入った一冊が倉茂貞助著『わが国の賭けごと史』という古本だった。
145ページのごく薄い本で、奥付を見ると、昭和49年発行で、発行所は日本自転車振興会(現・JKA)となっていて、定価の表示はない。
非売品だったのか。

 倉茂氏は競輪の創設者のひとりとして知られている。
ここまで賭け事について研究していたのか、と面白く読んだ。

 賭け事のそもそもから話をはじめて、奈良、平安、鎌倉と時代ごとの賭け事について詳細に書かれている。
なかでも江戸、明治・大正、戦後という章は詳しく書かれている。

 この本が出版されたのは、国内では賭け事がまだまだ盛んなころで、そのことが逆に社会問題になっていた時代だ。
そのことから、「賭博民度が層一層向上することを念願してやまないが」とあるが、今は逆にどうしたら、公営競技の売り上げを伸ばすことができるのか、という具合だ。

 歴史を辿るのは、資料を渉猟すればいい。
が、それだけでなく、賭け事をする側の気持ちを理解しながら、この文章を書いていることが伝わってくるのだ。
賭け事ということの、根本的な楽しみについて考察した本でもある。

 今、競輪に携わる関係者に一番必要なのは、こうした過去の歴史を知ることは当然のこと、その上で、競輪ファンが何を感じているかという基本的なことなのではないだろうか、と思いながら面白く読んだ。   (M)

投稿日: 2008年07月02日

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