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岩手・宮城でも間に合わず?! どう使う緊急地震速報
「地震の発生を直前に知ることができる」として昨年10月1日に始まった「緊急地震速報」。今月14日に起きた岩手・宮城内陸地震を含め、これまで3回速報が出たが、いずれも震源地で流れたのは本震到達の後だった。地震の“予知情報”と勘違いした人たちからはブーイングの声もあがっているが、名前の通り、これはあくまでも「速報」。その特性を十分理解したうえで適切に対処することが肝要だ。
6月14日午前8時43分、東北地方を震度6強、M(マグニチュード)7・2の激震が襲った。
気象庁によると、この「岩手・宮城内陸地震」の震源は岩手県内陸南部。震源の深さは8キロの「直下型地震」だった。この時、「緊急地震速報」はどう流れたのか?
速報を配信する気象庁は、「今回は地震波を検知した約4秒後に速報を流した。震源から半径約30キロ以上離れた地域では、本震の到達前に間に合った。想定通りの機能を発揮できた」と語る。
ただ、「震源の深さが10キロ以内で、震源が内陸にある『直下型』だったため、P波(最初に感じるかすかな揺れ)とS波(被害をもたらす本震)の間のタイムラグはほとんどなかった。震源付近では、速報は間に合わなかった」とも言う。
これは速報に成功したと言えるのか、それとも失敗なのか?
「緊急地震速報は、震源からある程度離れた地域の被害拡大を食い止めるための技術。その点を認識してほしい」と強調するのは、東京大学地震研究所地震予知情報センターの佐竹健治センター長だ。
「ある程度の距離」を今回の岩手・宮城内陸地震にあてはめると、震源から30キロ以上離れた仙台や盛岡、福島あたりが緊急地震速報が有効性を発揮する場所になる。近い将来の発生が指摘されている東海地震の場合、震源が静岡県とすると東京地域が該当し、逆に首都圏を震源とする首都直下型地震の場合は、静岡県などが該当地域になる。
気象庁は「もちろん、究極の理想は地震発生前の予知。しかし、現在の技術で予想できているM6以上級の大地震は東海地震だけで、すべての大地震を事前予知するのは不可能。緊急地震速報はあくまでも近隣地域の防災のために利用するものと理解してほしい」と話す。
とはいえ、速報が間に合ったとしても、本震到達までの時間は長くて30秒。到達まで、わずか数秒ということも多い。
佐竹センター長は「緊急地震速報の特性を踏まえたうえで、速報伝達手段の整備と、速報を受けた人の行動パターンを分析する作業が重要」と訴える。
「(いつ流れるか分からない)速報を受け取るためにテレビやラジオを常時つけている人は少ない。多くの人が即座に速報を受け取れる何らかの環境をつくることが望ましい。また、実際に速報を聞いた人の間でも、『とっさに何をすればよいかわからなかった』という声が圧倒的に多かった」(田中センター長)
たしかに、たとえ速報が間に合っても受信できなかったり、受信しても適切に行動できなければ意味がない。日ごろから速報を受信できる環境を整えるとともに、“その時”に備えた心構えが必要だ。
【受信手段】
NHKや民放は、震度5以上の地震が推定される場合、テレビ、ラジオで緊急地震速報を流す。速報の際のチャイム音はNHK、民放ともに同じ音だが、画面の表示方法は各局で若干異なる。
ここにきて問題になっているのは、デジタル放送の速報がアナログ放送よりも2秒程度遅れるという点だ。地上デジタル放送では、映像と音声のデータを圧縮して放送する。そのデータをテレビが復元処理するのに約2秒かかるため、視聴者が速報を受け取るタイミングが遅れる。緊急地震速報は秒単位の勝負なので、わずか2秒といえども表示が遅れるのは辛い。
放送以外にも、専用の受信端末で速報を受信する方法がある。
受信端末を扱う事業者は、2007年12月の気象業務法改正から許可制になった。気象庁によると、現在までに45社が事業者として許可を受けているという。
速報の受信端末「TAKUSU(タクス)」を製造販売するトータル・ライフサービスコミュニティー(大阪市)もそのひとつ。「TAKUSU―P」はマンションなどの事業者用(月額利用料1万円~)、「V」型は一般家庭用(希望小売価格6万5000円、月額料500円)。同社の大西喜一開発部部長はタクスについて、「10年以上もつ耐久性とネット環境にも対応した安全性、気象庁の技術向上に即時対応している点が売り」と説明する。
NTTコミュニケーションズではNTT東西のインターネット接続サービス「フレッツ」を通じて個人や法人向けに速報を提供している。現在までに契約数は順調に推移。「大規模地震の発生のたびに契約数は増加している」(同社広報)という。
また最近は、インターホン設備に緊急地震速報の受信機器を取り付け、居住者の部屋に速報を流すマンションも登場している。
ところで、緊急地震速報には2種類ある。ひとつは、われわれがテレビやラジオ、専用端末などを通して受信する「一般向け」。もうひとつは特定の利用者に向けて配信する「高度利用者向け」だ。
「一般向け」との大きな違いは(1)ユーザー自身が速報を流す基準を変えられる(2)一般向けよりも詳細な、地域ごとの情報を受信できる―という2点だ。
「『一般向け』の配信は震度5弱以上からですが、『高度利用者向け』はもっと低い震度の地震情報を受信できる。詳細な情報がいちはやく受信できるため、事前の対策をとりやすい」(気象庁)
ちなみに、ウェザーニューズ社はインターネット回線経由でパソコンに高度利用者向け緊急地震速報を配信する「The Last 10―Second」というサービスを月額1250円で提供している。これは個人や一般企業などでも利用可能だ。
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発生場所
発生日時
震度・M(マグニチュード)
計測震度
状況
沖縄県宮古島近海
4月28日午前2時32分
震度4、M5・2
震度5弱
一般向けの速報発表は地震波検知の約10秒後。震源に最も近い宮古島市が揺れだしてから5秒後だった
茨城県沖
5月8日午前1時45分
震度5弱、M6・7
震度5弱
地震波検知の9・3秒後、高度利用者向けに推定震度3として速報された。その58・3秒後に震度5弱以上に修正され、一般向け速報が流れたが、すでに揺れは首都圏から東北まで広い範囲に到達していた
岩手県内陸南部
6月14日午前8時43分
震度6強・M7・2
震度6強
地震波検知の約4秒後に速報を発表。直下型だったため、震源付近は間に合わなかったが、震源から半径約30キロ以上の地域では揺れが到達する前に速報が出された


