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宮路オサムさん―酒との闘い乗り越え

 14年前「急性神経性胃潰瘍穿孔(せんこう)腹膜炎」で胃の3分の2を切除。昨年4月には「急性重症すい炎」ですい臓の2分の1を失うなど、2度にわたる大手術を経験した歌手・宮路オサムさん(61)。原因は「断ち切れないアルコールと、ストレス」だったと振り返る。

■アルコール依存症
 「のど元過ぎれば熱さ忘れるで、14年前にもう酒はやめたと誓ったのに、頭の中ではわかっていてもつい手が出てしまう典型的なアルコール依存症に。24時間アルコ―ル漬けになっていないと落ち着かなかった」という宮路さん。みぞおちから背中にかけて息もできないような痛みに襲われ緊急入院したのは、地方公演から帰った夜中の2時頃だった。

 「悪運が強く、たまたまベッドが1つ空いていて、対応してくれたのはすい臓専門の先生。さらにすい臓は胃の裏側にあって普通はまったく見えないそうですが、僕は14年前に胃のほとんどを摘出していたので、すき間から見えた。そうじゃなかったら胃が悪いで終わり、家に帰ってそのまま死んでいたかもしれない」

■点滴がビールに見え
 「急性重症すい炎」とは、すい臓から分泌される消化酵素が自らのすい臓を溶かしてしまう死亡率の高い病気。宮路さんはぎりぎりのところですい臓の2分の1を失ったが助かった。入院中の数日間は、アルコ―ルの禁断症状が出て大騒ぎになったという。

 「点滴が生ビールのジョッキに見え、管を抜いて飲もうとして廊下を血だらけにしたり。体をベルトで固定されると、『オレはいまから飛行機で北朝鮮に行く』と暴れたり」

■看護師の言葉に「このままじゃダメだ」と
 そんなとき励みになったのは看護師のひと言だったという。「『がんばろうね』って言ってくれ、『がんばって』とは違うニュアンスを感じた。私と一緒にがんばろうね、という身内に近い言葉に、『このままじゃダメだ』と思ったんです。正直、酒と友達になったのは、ストレス。昔あんなに売れたのに、いまはなぜ思うようにいかないのか? なぜこの歌がみんなの心に届かない?って…」

 退院時の医師の言葉も忘れられない。

 「先生は『励ましてくれるファンのためにも酒をやめ、歌で恩返しをしようと思わないのか。このまま酒を続けたらお前、かっこ悪いぞ!』って泣きながら説教してくれた」

■今は一滴もやらず
 退院後は、今度こそはと酒を断ち、「いまはもう一滴も飲んでいない」。食事も「すい臓にエネルギーを入れちゃいけないので、煮た野菜や白身の魚、脂身の少ない鶏肉を中心に食べ、毎日2リットルの水を飲んですい臓を浄化。運動は1日1000歩を心がけている」

 これからは医師の言う通り、「頑張れ! と励ましてくれたファンにいい歌を聞いてもらい、恩返しがしたい」という。
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みやじ・おさむ
 茨城県出身。1967年「殿さまキングス」結成。73年「北の恋唄」で歌謡界デビュー。74年「なみだの操」大ヒット、日本レコード大賞大衆賞受賞。75年「夫婦鏡」がミリオンセラー。90年グループ解散後はソロ活動を展開。人生の応援歌、新曲『風来ながれ唄』(EMI)が好評。

投稿日: 2008年07月04日

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