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『踊る陰陽師―山科卿醒笑譚』岩井三四二著
滑稽なタイトルが目を惹くが、陰陽師が登場するのは冒頭の表題作のみで、副題の山科卿が影の主役。
室町末期に貧乏公家の山科卿は、家伝の秘薬を売る機会を密かに窺っている。そんな山科卿にさまざまな相談が持ち込まれる。無口が過ぎて同僚に馬鹿にされ、武士に向いていないと思い詰めた侍が、新しい職を紹介してくれとやってくる(「天下無敵のだんまり侍」)など、ユーモアに満ちた5つの短編を収録する。
山科卿たちの助言が親切か打算なのか判別しかねる所がもどかしくもあり、人間らしくも感じる絶妙な味わい。松本清張賞受賞作家による、上司や女に翻弄される哀れで滑稽な男たちを現代にも通じる人間味豊かに描いた時代小説だ。
(文芸春秋・1550円)


