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『カーブボール』ボブ・ドローギン著 田村源二訳
大義なきイラク戦争をあばいた、重量級ノンフィクション。CIAは「カーブボール」の暗号名を持つ、亡命イラク人の大量破壊兵器に関するあやふやな証言に飛びつき、ブッシュ大統領は開戦に踏み切る。だがその証言は後に虚偽であったことが判明。大量破壊兵器も見つからなかった。
ピュリツァー賞を受賞したロサンゼルス・タイムズ記者である著者は、これを米情報活動史上最悪の大失態として、80人以上の関係者への取材を通じて、「真相」に迫る。
明らかになったのは、あまりにもズサンな構図。CIAは「カーブボール」から直接、事情聴取をせず、政治家と情報機関員は“又聞き”によって勝手にストーリーを作り、アメリカを、そして同盟国をドロ沼に引きずり込んだのだ。
出世への野心、保身、裏切り、嫉妬…。CIA職員とてサラリーマンと同じ。「修正」するシステムも機能せず、それによってもたらされた結果がどれほど重大であったことか。調査報道の会心作だ。(産経新聞出版・2100円)
