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「シニア移住」"メッカ"を訪ねて(中)「生活直結サービス」を実現
「中高年の移住の聖地(メッカ)」として、毎夏、日本中から移住を試みるシニアが集まる北海道伊達市。同市への移住者は、この5年間で2000人を超えるようになった。その成功の要因は、行政側の伊達市役所と地元企業の若手経営者が密接に手を組み、さまざまな中高年向け「生活直結サービス」を実現していったことにある。
まず、「伊達版安心ハウス」。専門の調理スタッフによる食事提供や共同浴室、フロントサービスなどの機能を持つ「シニア向け賃貸マンション」を、地元業者が建設。伊達市がこれを認定し、その普及と拡大を奨励する。また、一部の住居は、伊達を訪れる移住希望者のために賃貸で貸し出し、「おためし移住」を経験してもらおうというものだ。
「すでに市の中心部に2棟が実現し、移住を希望する中高年が、道内、東京、埼玉、福岡など日本全国から『おためし移住』を体験しています」と、伊達市企画財政部住んでみたいまちづくり課の鎌田衛(まもる)課長。この「おためし移住」が気に入って、毎年秋に翌年の予約をする客が多く、新しい希望者が体験しにくいといううれしい悩みも抱えるほどだ。
一方、伊達での生活が気に入り、定住する人のために郊外の田園地帯に開発したのが「伊達版優良田園住宅」である。
こちらは、市が所有していた農業研究センターの跡地を民間デベロッパーに払い下げ、建築条件付きで分譲するもの。すでに第1期分譲53区画の半分以上の購入が決まっている。ゴルフ場に隣接し、家庭菜園も楽しめる土地付分譲住宅が約504平方メートルの土地に、約152平方メートルの建物付で、約550万円、坪単価は平均3万7000円である。
さらに、中心部に大型スーパーや専門店、大型病院が集まる「コンパクトシティ」化を進め、郊外から中心部に買い物に行くための車を持たない中高年向けには、入会登録手数料1000円で会員になれる「愛のりタクシーも用意しました」(同課長)。これは前日に予約すると、目的地が同じ乗客をピックアップし、500円単価で送迎してくれるというものだ。
各種サービスを希望する人は、前出の住んでみたいまちづくり課で説明を受けられ、さらに民間企業に委託された「住居コンシェルジュ」サービスを受けることもできる。
「伊達ウェルシーランド構想」と総称されるこれらの試みは、千葉商科大学学長の島田晴雄氏のアイデアを、NTTデータ経営研究所の協力のもと、柔軟な発想で認可した伊達市役所、伊達商工会議所、リスクを恐れない地元若手経営者らが一体となって実現したものだ。
“北の湘南”と呼ばれる伊達市に今、多くの都会移住者たちが集まるのは、よりよい故郷を創ろうとする「活気」と「熱意」のゆえだろう。
■「シニア移住」"メッカ"を訪ねて(上) 北海道伊達市-北の湘南

