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「シニア移住」"メッカ"を訪ねて(下)都会では味わえないイキイキ生活
「北の湘南」と呼ばれる北海道伊達市には、夏、秋の季節移住から、現地に不動産を買って移り住む本格的移住までさまざまな人々が集まる。
東京出身で、茨城県ひたちなか市在住だった元日立製作所エンジニアの井餘田(いよた)浩司さん(44)は2005年3月、3人の息子の理想的教育を求めて移り住んできた。
「オーストリアのルドルフ・シュタイナーという思想家が提唱したシュタイナー教育という、芸術を重視した自由教育の学校が、伊達市内にあり、息子たちを通わせようと思ったのです」と井餘田さん。当初は市中心部の新築賃貸アパート(2LDK、月額6万3000円)に住み、子供たちを学校に通わせた。
「次に、中心街から少しはずれた一軒家を月7万3000円で賃貸。昨年、学校が噴火湾沿いの隣町、豊浦に移転したのに伴い、引っ越しして私が約20分かけて伊達市内の会社に通勤しています」
井餘田さんは移住者向けデータベースを制作する会社に勤務。日立製作所時代は年収1000万円を超すエリートビジネスマンだったが、現在はその半分。それでも、「生活費のほとんどが子供の教育費に消えていく毎日ですが、充実感はありますね。住む環境が変わると、子供たちがあんなに生き生きと変わるものかと驚いています」。
生活費も東京の半分以下で済む。高1、小6、小5の男の子3人を育てながらのたくましいパパぶりを発揮している。
ほかにも、奥さんの実家である伊達に終の棲家を構え、市街地に税理士事務所を開いて趣味である釣り三昧の日々を送る男性や、市街地でそば店を営む札幌からの移住者まで、実にさまざまな人々が、それぞれの移住生活を楽しんでいる。
こうした移住生活のベースとなっているのが、「心の伊達市民制度」だ。「伊達を愛する方々に1口1000円で『心の伊達市民』になっていただき、口数に応じて旬の伊達野菜の詰め合わせ、活きホタテ、有珠山産メロンといった伊達の特産品をお送りする仕組みです」と伊達市役所企画財政部住んでみたいまちづくり課の鎌田衛課長。
地元産品と同時に、伊達市の生活に関連した地元新聞記事を集めた「心の伊達市民かわら版」を送り、都会にいながら伊達の最新事情を把握できるようになっている。「心の伊達市民」には、入会者によるネットワーククラブも組織され、「短歌・俳句・川柳」の募集も行われる。
いくつかを紹介すると。
「古里を 与えてくれた 伊達の街」(大阪府富田林市)
「市民講座で 伊達への移住の 誘いをし」(神奈川県藤沢市)
「春来れば また行くからと 伊達男」(東京都世田谷区)
こうして伊達の生活に興味を持ち、一時滞在、長期滞在、そして定住へと踏み出していく。移住は、自分自身の理想郷を求めるだけではない。子供たちの教育も含めて家族全員で挑戦するものだ。都会にはない理想的な家族生活を求める人々から、「北の湘南」伊達市は今、熱い注目を集めている。
■「シニア移住」"メッカ"を訪ねて(上) 北海道伊達市-北の湘南
■「シニア移住」"メッカ"を訪ねて(中)「生活直結サービス」を実現

