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プランナーくぼたつの「企画の道具箱」日本企業アップルにタジタジ
シリコンバレー在住の友人からこんなメールが来た。
「iPhoneの日本発売は、世界の携帯電話業界のガラパゴスと言われる隔絶された日本の携帯電話市場を塗り替えるだろう」
かつてiPodが日本に上陸する前、アップルは日本の各メーカーにパートナーシップを申し入れた。だが、オーディオ機器の性能は日本メーカーのほうが上回っているから無理だと提携を断った企業が多かったという。
しかし、アップルの戦略の本命は音楽管理ソフト「iTunes」および音楽配信の「iTunesストア」にあった。インターネットにつながったパソコンで音楽を1曲ずつ試聴してから購入できる仕組みである。
日本の音楽業界人たちは、アップルの戦略を理解できなかったし、理解できたとしても受け入れるわけにはいかなかった。レコードからCDへの切り替えが完了した音楽業界では、1枚3000―4000円のCDを買ってもらって利益をあげるというビジネスを変える気はなかったのだ。
だが、日本上陸を果たしたiPodとiTunesはアップルのもくろみ通り、日本の音楽業界に革命を起こした。
消費者は、それが日本製だろうと外国製だろうと、良いと思ったものは買う。ごく当たり前のマーケティングの原理が働いただけだった。ただ、それが品物(iPod)だけでなくサービス(iTunesストア)も含んでいた点が、日本の音楽業界に衝撃を与えたのだ。
そこでiPhoneである。「アイフォーン」という名前から携帯電話の一種と思われがちだが、これは携帯というよりもPDA(個人情報端末)に近いコンセプトの商品だ。そして、iTunesに相当するのが「クラウドコンピューティング」である。簡単に言うとビジネスや個人情報管理に関する一切合切をウェブを通じてできてしまうネットワークサービスだ。
クラウドコンピューティングの具体例としては、グーグルの一連のサービスがある。グーグルのサービスはいまやキーワード検索にとどまらず、メールや各種ビジネスツール、地図や位置情報サービスなど仕事や生活に必要なサービスをウェブとブラウザソフトだけで実現している。
したがって、iPhoneが日本に上陸するということはクラウドコンピューティングが上陸するということであり、それが日本のビジネスマンや企業の仕事を一変させる可能性を秘めているということなのだ。
iPodとiTunesがCDとCDプレーヤーを不要にしつつあるように、iPhoneとクラウドコンピューティングは社内サーバーや業務管理ソフトを駆逐し、企業の管理業務や情報サービスに革命を起こす可能性がある。
この“黒船”を迎え撃つ日本の携帯電話企業連合軍は、ガラパゴスに安住することなく英知を発揮していただきたいと願う。
=毎月第1月曜掲載
