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「言葉のタネ明かし」荒らげる-大多数が間違いの「アラゲル」
怒りやいらだちで声を高くするのを「声をアララゲル」という。「えっ、アラゲルじゃないの」と疑問に思う方もいるだろう。いや、むしろ「アラゲル」だと思っている人の方が多いのではないかと思う。
正しいのは「アララゲル」で、漢字で書けば「荒らげる」となる。なかにはこの「荒らげる」の表記を見てもまだ「アラゲル」と読む人もいるかもしれない。もし「アラゲル」が正しいとするなら、表記も「荒げる」となるはずである。
もともと「アライ(荒い)」に状態を示す接尾語の「ラカ」が付いた「アララカ(荒らか)」という語があった。「キヨイ→キヨラカ」「ヤワイ→ヤワラカ」と同様の成り立ちである。「荒らか」は、「『何といふぞ、非修非学の男』と荒らかにいひて」(徒然草)のような用例を見ることができる。
しかし世間一般では、「広い→広げる」などの派生が意識されるためか、「アライ→アラゲル」がごく自然に受け入れられ、「アラゲル」が多数派となるに至った。
国語辞書とて、そういった事情を無視できなくなったのだろうか、例えば新明解国語辞典(5版)では、カラ見出しというものの、「あらげる(荒げる)」を見出しに立てている。しかし多くの新聞はまだまだ「荒げる」を認めていない。
(産経新聞編集局校閲部長 清湖口敏)
■その他の「言葉のタネ明かし」
「目」 「無人島」 「拉致」 「ぞっとしない」 「死亡」 「伸るか反るか」 「汚名挽回」 「蛙の子」

