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『巨匠(マエストロ)たちのラストコンサート』中川右介著
落語家の立川談志は、「今日は、オレの最後の高座になるかもしれねぇから、よく聞いとけよ!」なんて、ジョークを飛ばして客席を沸かせている。もちろん本当に「死」を予感しているなら、そんなことを言うはずはない。
本書に登場するクラシック音楽のお歴々だって同じことだ。カラヤンもバーンスタインも、それが結果的に、自分の「ラストコンサート」になるなんて知る由もなかったに違いない。だから、それを集めたところで何になる? なんていうなかれ。
ここに描かれているのは「老い」の残酷さである。オペラの歌詞が思いだせなくなっても楽団員のために引退できないトスカニーニ、指揮中に立っているだけになってしまったバーンスタイン…。嗚呼。 (文春新書・861円)
