TOPコラム / ピックアップ > 「週刊 軍事情報」北工作船の保存と高張力鋼

「週刊 軍事情報」北工作船の保存と高張力鋼

■週刊軍事情報
週刊軍事情報 2001年12月22日、奄美大島沖で北朝鮮の工作船が海上保安庁の巡視船と銃撃戦の末、自沈したことは、いまだに多くの人の記憶にあるのではないか。工作船は約9カ月後、引き上げられ、東京・お台場の船の科学館で展示されていたが、現在は横浜・みなとみらい地区の海上保安資料館横浜館にある。

 船の科学館での展示は03年5月から翌年2月まで。しかしその後は行方がなかなか決まらず、一時はスクラップの危機にも陥った。理由は場所と費用だ。

 これに対して多くの保存を求める声が上がり、1億500万円の募金が集まった。この募金で横浜海上防災基地の一角に海上保安資料館横浜館が作られ04年12月にオープン。同館には取材中もひっきりなしに見学者が訪れていた。「入館者は1日平均1000人ほど」(第3管区海上保安本部)で、今年3月には100万人を突破したという。

 ただ、多少の課題もある。腐食による劣化だ。「費用の面から塩抜きやさび止めコーティングが十分でないので腐食が進行していて、当初は必要なかった補強をしてある」(同)。手すりなどワイヤを張って支えているのが見て取れる。

 補強が必要になるのは、船体の鉄板が3―5ミリと薄いこととも関係がある。なぜ薄いかというと、「漁船では使われることのない高張力鋼が使われている」(海保関係者)から。高張力鋼は一般の鋼材に比べ引っ張り強度、圧縮強度とも高い。だから薄くして軽量化を図れるので、高速化が必要な工作船に使われた。

 ただ、炭素、マンガン、チタンなど十数種類の元素を微量加えて作るため高い技術が必要で、各鉄鋼メーカーは門外不出の技術。自動車のフレームや潜水艦の船殻に使われているが、これの性能で潜行深度が左右されるので、各国にとって技術開発のキモだ。そして日本は世界最高レベルにあるとされる。

 北がこの鋼材を自国で製造したか不明だが、温度管理面などから溶接も難しい。北の技術レベルを過小評価してはならないということでもある。

日系初のブラジル時空軍司令官、招聘の舞台裏
海自艦艇"交流"が抑止力に
「さめ肌」艦艇の驚異的省エネ効果
第3、第4次中東戦争が日本に伝える教訓
発展性奪う「政治的配慮」
山本五十六記念館-生々しい戦死時の搭乗機
B-29への体当たり攻撃と不発弾

投稿日: 2008年07月15日

トラックバックURL:

ちょいワルフジBLOG

最新記事

夕刊フジBLOGから

コラボ企画

オススメサイト

夕刊フジBLOGモバイル

  • http://yfuji.jp/
    夕刊フジBLOGモバイル
  • 携帯も夕刊フジBLOGモバイル