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「胃ろう難民」増加の背景

 70代後半になる筆者の母親が脳梗塞で倒れ、「要介護5」という最も重い状態になってもうすぐ満4年を迎える。

 現在はある「医療型療養病床」を持つ病院に入院している。ここは医療保険を適用しているが、一方で介護保険を適用した「介護型療養病床」という病院もある。

 ところが、「医療型~」では、母親は “病人”ではないとされている。要介護5の患者でも、だ。

 それはこんな理由からだ。倒れてしばらくは、心不全や肺炎で危篤状態にも陥った彼女だが、その後持ち前の頑健な体力によって、これらを克服。問題だった骨まで達する「じょくそう=床擦れ」も治し、医者からすれば、治療するところはない。

 母親はまた、食べ物を口から咀嚼できないので、腹から胃に穴を開けてチューブを挿入し、そこから流動食を流し込む「胃ろう」も作っている。これも病院の管理が必要だが治療ではない。

 だから、「医療型~」ではこの状態を「医療区分」の「1」と判断し、治療が必要な2や3に比べ保険料で定められた入院基本料がはるかに安い。したがって病院経営上は“招かれざる患者”で、「医療型~」はなるべくこうした患者は受け入れないようにし、場合によっては退院を促される。

 幸い、母親はそんなことはないが、受け入れ先を探した患者がかなりの数いる。そして、この患者とその家族を医療難民ならぬ「胃ろう難民」と呼ぶ。なんか、悲しいネーミングだねえ。

 「要介護5」であっても医療区分では“ほとんど健康人”の「1」。どっちなんだ、厚生労働省さん。はは~ん、わかったぞ。ちょっと前から医療費抑制を狙って「在宅介護」を推進しているが、これもその一環ということか。  

 その厚労省、2012年にはこの介護型を全廃し、医療型の数も減らす計画を進めている。このままじゃ、ますます胃ろう難民が増える一方。どうしろってんだ、厚労省!
(ジャーナリスト 旭利彦)

投稿日: 2008年07月16日

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